2010 Fiscal Year Annual Research Report
アシッドベースレジスタントゾーンの精査と改質・スーパートゥースの構築
Project/Area Number |
22791827
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井上 剛 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40431928)
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Keywords | セルフアドヒーシブセメント / アシッドベース / 樹脂含浸層 / セルフエッチング / 接着界面 |
Research Abstract |
これまで直接法レジン修復において、セルフエッチングプライマーシステムをも場合に、象牙質接着界面において樹脂含浸層よりも象牙質よりに酸塩基抵抗層(アシッドベースレジスタントゾーンの存在が確認されてきた。しかしながら間接法で用いられる接着性セメントについてはこれまで報告がされていない。近年開発されたセルフアドヒーシブセメントは、これまでのセメントと違い接着操作前の処理がないことで、チェアータイムの短縮や手技中のエラーの防止などが利点とされている。そこでこの材料を用いて接着界面の精査を行った。従来の観察方法をアレンジして界面の観察を行ったところ、材料によってアシッドベースレジスタントゾーンの形状に差があることが分かった。これまで直接法でも観察されたように、酸塩基抵抗が弱い材料に特有な直下の象牙質の選択的な脱灰や、アシッドベースレジッスゾーンの不連続性などが観察された。一方でフッ素含有の材料では一定の安定した厚みの層が観察されたことで、機能性モノマーの種類によって象牙質との接着性能に差があることから、セメントにおいても同様の傾向が見られたものと考えられた。 また、直接法レジン修復の前処理として、F-Ca-P含有溶液を歯面に塗布することで、接着力は低下する傾向を示したものの、アシッドベースレジスタントゾーンの性質は大幅に向上している様子が走査型電子顕微鏡を用いた観察で明らかになった。これによりう蝕によって失われたミネラル成分を接着操作前に補うことで、これまでリーケージなどの点から弱い部分とされてきた接着界面において強化し、耐久性の向上や接着界面の再石灰化につながる可能性が明らかになってきた。
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Research Products
(5 results)