2010 Fiscal Year Annual Research Report
菌体外マトリックスをターゲットとした成熟バイオフィルムの制御戦略の確立と臨床応用
Project/Area Number |
22791830
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
若松 里佳 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (80422616)
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Keywords | バイオフィルム / 浸透 / 拡散 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
口腔バイオフィルムの制御戦略は、バイオフィルムの各形成ステージごとに提示される。本年度は、in vitroおよびin vivoにおいて形成したバイオフィルム深層部細菌の殺菌効果および剥離効果について含嗽剤を用いて検討した。 (1)in vitroバイオフィルムモデルの含嗽剤の殺菌効果 ハイドロキシアパタイトディスクを試料とした。懸濁液(S.oralis, S.gordonii, A naeslundii)中に浸漬し75rpmの速度で回転させながら90分培養することによりディスク表面に細菌を付着させた。Rotating Disc Reactorを用いて50rpmの速度で回転させながら、毎分4.6mlの速度で0.5%スクロース含有BHI brothを還流しバイオフィルムを形成させた。5日培養のバイオフィルムに対し含嗽剤(リステリン,J&J)を30秒間作用させたのち、Live/Dead染色を施し共焦点レーザー顕微鏡にて共焦点画像を採取した。PI陽性菌の割合を算出すると、82.1-100%であり大多数が膜傷害菌であると判定されたが、Plate count法により5.7±3.5x10^7CFU/mlの細菌が増殖可能であった。 (2)in vivoバイオフィルムモデルの含嗽剤の剥離効果 健全者の上顎犬歯頬側面をPMTC後歯面清掃を3日間停止しバイオフィルムを形成させた。染色液にてバイオフィルムを染色したのち含嗽剤にて含嗽後、バイオフィルムの剥離効果を観察した。歯面着色領域は30秒含嗽ではほとんど変化がなかった。3分含嗽により半分程度に減少した。 これらのことから、たとえ浸透性の良い抗菌成分を用いたとしても、30秒程度の接触時間ではバイオフィルム深層部の大多数の細菌は生存することが確認された。また、たとえ死滅したとしてもその構造が付着面に残ることから、成熟バイオフィルム制御はマトリックスを分散もしくは剥離する方法を確立することが重要であると思われた。
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