2010 Fiscal Year Annual Research Report
オートインデューサー類似化合物が難治性根尖性歯周炎関連細菌に及ぼす影響の検索
Project/Area Number |
22791833
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 陽子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50456943)
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Keywords | 歯学 / バイオフィルム / 阻害薬 / クオラムセンシング / 難治性根尖性歯周炎 |
Research Abstract |
細菌の情報伝達物質であるオートインデューサー(AI)類似化合物のうち,Porphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成を抑制する化合物と抗菌剤の併用がバイオフィルムに及ぼす影響を検素した。抗菌剤として,ミノサイクリン(テトラサイクリン系),オフロキサシン(ニューキノロン系)およびセフロキシム(セフェム系)を用いた。P.gingivalisバイオフィルムに側鎖の炭素数が4であるAI類似化合物と各種抗菌剤を作用し,ATP量測定,微細形態学的観察および三次元的観察を行い,バイオフィルムに及ぼす影響を評価した。バイオフィルムの形成は既に確立したModified Robbins deviceを用いたフローセルモデルで行い,サンプルを無添加群・化合物添加群・抗菌剤添加群および併用群の4つに分けた。ATP測定の結果,併用群は他の3群と比較し有意にバイオフィルム量が低下した。SEMによる微細形態学的観察では,化合物添加群および併用群においてバイオフィルムの細胞外マトリックス様構造物が認められ部位があった。三次元的観察では,サンプルをLive/DeadR Bacterial Viability Kitsにて染色し,共焦点レーザー顕微鏡を用いてバイオフィルム内の細菌の生・死を解析した。ミノサイクリンおよびセフロキシム添加群では,バイオフィルムの表層のみ死菌が観察された。一方,併用群において,バイオフィルムの深層まで死菌が認められた。また,抗菌剤添加群および併用群において,バイオフィルムの剥離が見られた。以上より,抗菌剤とAI化合物の併用はオーラルバイオフィルムのコントロール法として有用である可能性が示唆された。
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