2011 Fiscal Year Annual Research Report
再石灰化象牙質へのセルフエッチング接着システムの浸透と接着
Project/Area Number |
22791835
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 久美子 岡山大学, 大学病院, 助教 (50550802)
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Keywords | レジン-象牙質接着界面 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 走査電子顕微鏡 / 象牙質微小引張接着強さ |
Research Abstract |
本年度の研究は、象牙質接着修復において、臨床に即した象牙質被着面に対する、レジンモノマーの浸透と接着強さの関係を明らかにするものである。臨床の場で接着の対象となるのは、健全象牙質ではなく、たいていの場合、う蝕影響象牙質であり、これは健全象牙質と比較し、接着性が低下することが報告されている。一方、本研究の一環として昨年度行った研究では、健全象牙質に対するメガボンドFAプライマーの浸透を評価するために共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)の蛍光染色法を用いた。その結果、観察に適する蛍光色素・ローダミンBの濃度はメガボンドFAプライマーに対して0.07%であることが示唆された。 これらをふまえ、う蝕影響象牙質を想定した人工再石灰化象牙質を作製し、接着性の研究を行った。すなわち、人工再石灰化象牙質に対してローダミンBを0.07%配合したメガボンドFAプライマーを用いて接着試料体を作製し、微小引張接着強さの測定およびレジン-象牙質接着界面のCLSM観察を行い、健全象牙質と比較検討した。また、CLSMで観察した試料を通法に従い処理し、走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。 その結果、接着強さの値は、健全象牙質と比較して、人工再石灰化象牙質で有意に低い値を示した。接着界面の観察では、CLSMではプライマーの浸透を示す赤色の像が人工再石灰化象牙質では健全象牙質と比較して短く、SEM像ではレジンタグは健全象牙質と比較して短かった。人工再石灰化象牙質では、プライマーの浸透が健全象牙質と比較して劣るために、レジンタグの形成も劣り、接着性の低下につながることが示唆された。 一般的に、CLSMは高分解能といいながらもSEMには解像度の点で及ぶものではないと言われている。しかし、本研究で用いたレジン-象牙質接着界面の検討手法としてCLSMの活用は、観察方法のひとつとして有効であることが示唆された
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Research Products
(3 results)