2010 Fiscal Year Annual Research Report
良質再石灰化エナメル質の獲得-ストロンチウムによるナノレベルでのメカニズムの解明
Project/Area Number |
22791837
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
峯岡 茜 広島大学, 病院, 助教 (00452623)
|
Keywords | 再石灰化 / 酸蝕 / ストロンチウム |
Research Abstract |
酸蝕は現代の食生活習慣の多様化、健康志向、ストレスの多い社会生活環境の中にあって、むし歯、歯周病に続く第三の疾患として増加の一途にあり、メタボリックシンドロームと並ぶ生活習慣病である。故に、酸蝕に対する良質再石灰化エナメル質の獲得を目的とし、ストロンチウム(Sr)-フッ素(F)化合物を用い、ハイドロキシアパタイトとの化学的反応に着目し、ナノ・レベルでの解析を行うこととした。 本年度はSr-F化合物とエナメル質構成主成分であり、X線光電子分光分析装置(XPS)測定上より正確なデータを得ることを目的に厚さ、表面粗さ等均一であるハイドロキシアパタイトプレートとの化学的反応について、ナノ・レベルでの表面解析を行った。さらにヒト新鮮抜去歯(広島大学倫理委員会承認済み)を用い、同様の表面分析を行った。 ハイドロキシアパタイトプレート表面を人工カリエス液により脱灰、Sr+F水溶液浸漬、超純粋中にて超音波洗浄30分間後、XPS測定を行った。その結果、XPSワイドスキャンにおいてハイドロキシアパタイト由来の元素であるCa、P、O以外にSrおよびFが検出され、化学的に結合していることが確認された。さらに、10ppmSr水溶液と1 ppm、0.1 ppmおよびO.O5 ppm F水溶液の併用において、10 ppm Sr水溶液+0.05 ppm Fが最も効果的に再石灰化エナメル質獲得に関与することが示唆された。また、ヒト新鮮抜去歯において同様の解析を検討した結果、先述の結果と同様であった。 次年度はその再石灰化エナメル質層をマイクロCTスキャンを用い"質"の評価を検討する。
|