2011 Fiscal Year Annual Research Report
良質再石灰化エナメル質の獲得-ストロンチウムによるナノレベルでのメカニズムの解明
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22791837
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
峯岡 茜 広島大学, 病院, 助教 (00452623)
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Keywords | エナメル質再石灰化 / 酸蝕 / ストロンチウム |
Research Abstract |
酸蝕は現代の食生活習慣の多様化、緯康志向、ストレスの多い社会生活環境の中にあって、むし歯、歯周病に続く第三の疾患として増加の一途にあり、メタボリックシンドロームと並ぶ生活習慣病である。故に、酸蝕に対する良質再石灰化エナメル質の獲得を目的とし、ストロンチウム(Sr)-フッ素(F)化合物を用い、ハイドロキシアパタイトとの化学的反応に着目し、ナノ・レベルでの解析を行う。 前年度は最も効果的に再石灰化エナメル質獲得に関与するSr-F水溶液濃度は10ppm Sr水溶液+0.05ppm Fであることを確認した。本年度はこの最適Sr-F水溶液濃度およびマイクロCTスキャンを用い、再石灰化エナメル質の"質"の評価をミネラル量および厚さで評価検討した。前年度同様、ハイドロキシアパタイトプレートで基礎的知見集積後、ヒト新鮮抜去歯エナメル質を用い検討した。 最適Sr-F水溶液濃度以外の再石化エナメル質には構造上欠陥が生じた。最表層はハイドロキシアパタイトの他に、本来は歯の表面に無かったフルオロアパタイトCa_<10>(PO_4)_6F_2、フォトロカイトCa_3(PO_4)_2、ブラシャイトCaHPO_4・2H_2Oといった他のリン酸カルシウム系の結晶の沈着が認められた。しかし、表層下層には再石灰化されてない結晶がありエナメル質白斑の原因の1つであり、非常に脆弱な層であった。一方、10ppm Sr水溶液+0.05ppm Fはイオン半径の大きいSrを併用することにより、Fの浸透を助け、欠陥再石灰化エナメル質結晶を減じ、良質な再石灰化エナメル質獲得が確認された。
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