2010 Fiscal Year Annual Research Report
生理機能性ペプチドの精製・分離及びその骨再生に及ぼす影響に関する分析
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22791840
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山田 志津香 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00363458)
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Keywords | フィッシュコラーゲンペプチド / コラーゲン翻訳後修飾 / コラーゲン架橋 / コラーゲン成熟 / 基質石灰化 / MC3T3-E1細胞 |
Research Abstract |
牛海綿状脳症(BSE)の発生以来、魚由来コラーゲン(Fish Collagen Peptides : FCP)が注目されており、近年、栄養補助食品や食品添加剤として多用されている。しかし、その細胞機能に対する効果については、未だ解明されていない。本研究では、コラーゲンの合成、質ならびに石灰化に対するFCPの効果について、マウス前骨芽細胞(MC3T3-E1細胞)を用いて検討した。使用したFCPは焼津水産化学から供与された。このFCPは、アミノ酸分析により、ヒドロキシプロリン含有量は約5%と一般的な哺乳類(ウシ)コラーゲンの約半分であることが判明した。また、SDS-PAGE分析により分子量は5~15kDaであった。まず、このFCPを総濃度が0.2%(w/v)となるように添加した培地で、前述の細胞を48時間培養後、リアルタイムPCR法で分析した時、コラーゲン翻訳後修飾関連遺伝子であるリシルヒドロキシラーゼ1-3(LH1-3)、リシルオキシダーゼ(LOX、LOXL1-4)ならびにグリコシルトランスフェラーゼ25ドメイン1(GLT25D1)遺伝子発現が、FCPを添加しない培地で培養した対照群と比較して、LOXとLOXL1を除いて、有意に増強していた。さらに、14日間の培養で産生されたコラーゲンがアミノ酸分析器と架橋測定器で分析された時、FCP処理群は、対照群と比較して、コラーゲン合成量、ヒドロキシリシン(Hyl)量、Hylアルデヒド由来架橋量が有意に増加しており、コラーゲン成熟も促進していた。その上、von Kossa染色により、FCP処理は21日間の培養において基質石灰化を促進することも実証した。 本結果により骨芽細胞培養システムにおいて、FCPがコラーゲン合成、架橋・成熟ならびに石灰化に積極的な効果を示すことが証明された。これにより骨組織工学におけるFCPの有用性を提唱する。
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