2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791841
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小池 俊之 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (10458135)
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Keywords | 歯学 / フォスフォフォリン / 歯髄 / 修復象牙質 / 直接覆髄 / アルギン酸シート |
Research Abstract |
深いう蝕を治療する際、歯髄を保存するための覆髄剤して水酸化カルシウム製剤が広く使用されている。しかし、水酸化カルシウム製剤は安価である反面、組織刺激性が強く、治癒過程で必要とされる修復象牙質が形成されるまでに2~3ヶ月という長い治療期間を必要とする。しかも、歯髄を保護すべく形成される修復象牙質は多孔性で裂隙を含むことが多いため、そこが歯髄と外界を繋ぐ感染経路となってしまい、結果的に歯髄炎を惹起させてしまうという可能性がある。 本研究の目的は、水酸化カルシウム製剤に取って替わる新規歯髄保護材料の開発を目指し、生体親和性を有するアルギン酸シートと象牙質石灰化に関わる重要なタンパクであるフォスフォフォリンを用いた新規覆髄剤開発のための基礎データを動物実験によって蓄積し、解析することである。 本年度の研究では、歯の大部分を構成する象牙質に含まれ、硬組織誘導活性を有する非コラーゲン性リンタンパク質であるフォスフォフォリンをブタ抜去歯から抽出し、生体吸収性材料であるアルギン酸シートと結合させて複合体(試作覆髄剤)を作製した。 深い虫歯のモデルとして、全身麻酔を施したラットの臼歯を滅菌スチールラウンドバーにて切削することで歯髄を露出させ、そこに硬組織誘導活性を有するフォスフォフォリン-アルギン酸シート複合体を移植した。術後2、4週目で屠殺し、病理組織学的観察のためにヘマトキシリン-エオジン染色標本を作製、また、走査型電子顕微鏡による観察を行い、修復象牙質と歯髄の詳細な分析を行った。その結果、水酸化カルシウム製剤による場合に比べて緻密で高品質な修復象牙質形成を確認し、歯髄の炎症の程度もきわめて軽度であった。
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