2011 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉を応用した効果的な歯髄組織再生治療への取り組み
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22791842
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
藤原 英明 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (20405781)
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Keywords | 歯内療法 / 細胞分化 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
近年,齲蝕の進行した症例においても可及的に歯髄を保存し,積極的に失われた硬組織を再生させることを目的に,増殖因子(growth factor)などの応用が検討されている。しかし,齲蝕や外傷などによって歯髄に炎症が発症すると,炎症性サイトカインが複雑にネットワークを形成して,その病態が形成される。炎症が存在する組織では増殖因子が少なくなるという報告もあり,再生療法の効果が充分に得られない可能性がある。そのため,歯髄組織の炎症増悪機序の解明と抑制方法を研究することは,再生療法の効果をさらに高める可能性がある。 昨年度までに,IL-6-可溶性IL-6レセプター(sIL-6R)複合体が炎症の増悪因子である血管内皮増殖因子(VEGF)産生について,歯髄細胞は比較対照群である歯根膜細胞とは異なり,IL-6単独で細胞内シグナル伝達系が活性化される特徴を有することが分かった。 歯髄細胞,歯根膜細胞を構成するのは主として線維芽細胞だが,細胞が存在する環境によってシグナル伝達系が異なる可能性が示唆されたため,同じく口腔内に存在する歯肉線維芽細胞と歯髄細胞をフローサイトメトリー(FACS)により比較した。その結果,歯肉線維芽細胞の細胞表面にはIL-6Rはほとんど存在せず,歯髄細胞の表面にはIL-6Rが存在することがわかった。これは,同種類の細胞に同じ治療法を行っても,細胞の存在している環境によって治療効果が異なる可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,震災による停電で超低温フリーザーが数日間停止したため,研究・実験に使用するために保管していたサンプルが使用不可となった。このため,再度実験系を回復するのに時間を要し,計画立案当初のスケジュールより研究計画がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の遅れは本年度でほぼ取り戻しており,問題なく研究を進めることが可能である。本年度までに得られたデータを元に,次年度は予定通り歯髄細胞におけるRNAi干渉の効果を実証する予定でいる。
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