2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791843
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
中 貴弘 奥羽大学, 歯学部, 助教 (70433539)
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Keywords | SOST / 歯胚 / 発生 / マウス / 免疫組織化学的染色 / 再生医療 |
Research Abstract |
SOST遺伝子は,骨硬化症(Sclerosteosis)の原因遺伝子として発見され,その欠損により全身の骨に異常が生じると言われている.近年、SOST遺伝子産物であるSclerostinが骨細胞中に特異的に発生し,BMPシグナルやWntシグナルを抑制することで骨代謝を調整していることが明らかになった.一方,骨硬化症などの症状を有する患者において,種々の歯の形態異常が認められることも報告されている.しかしながら,BMPシグナルやWntシグナルが重要な役割を果たす歯の発生において,SOSTと歯の発生の関連性を検討した研究はない. そこで今回,マウス胎仔の歯胚発生各段階を形態学的および免疫組織化学的に観察することにより,歯胚形成におけるSOSTの役割を検討した. 実験には,E12.5~18.5のICR系マウス胎仔および出生後3日(P3)のICR系マウスを用い,10%中性緩衝ホルマリンにて固定後,通報に従って脱灰,脱水,透徹を実施した後,パラフィンに包埋し矢状断にて連続切片を作成した.同切片を用いて,抗マウス由来SOSTヤギポリクロナール抗体を一次抗体とし,avidin biotin complex法を用いた免疫組織化学的染色を行った.切片は,ヘマトキシリンにて二重染色を行い,光学顕微鏡下で観察した. その結果,硬組織形成期の歯胚において,エナメル芽細胞と向き合うように配列する象牙芽細胞に発現陽性像を確認した.新生マウスの歯胚においては,臼歯TGの間葉側細胞にも染色陽性像が認められた.以上の結果より,SOSTは硬組織形成が開始された後の歯髄側細胞の機能調節因子として関与を有する可能性が示唆された.SOSTは,TGおよび顎骨の発生に関与する可能性が示唆され,この研究成果は歯科保存学領域の再生医療実践に大きく寄与するものであると考えられる.
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Research Products
(2 results)