2010 Fiscal Year Annual Research Report
根管内破折したニッケルチタンファイルを腐食させることで除去を容易にする方法の確立
Project/Area Number |
22791844
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
高橋 哲哉 明海大学, 歯学部, 助教 (40547478)
|
Keywords | ニッケルチタンファイル / 破折器具の除去 / 腐食 |
Research Abstract |
【目的】申請者はこれまでの研究によって、2種類の溶液への3~24時間の浸漬によってNiTiファイル破折片を腐食溶解することを明らかにした。しかし、3時間という長さを考えた場合、臨床における1回の治療時間としては長すぎるため、臨床応用に適しているとは言い難い。そこで平成22年度の研究では、適切な溶液温度の条件を模索し、ファイルの腐食溶解に要する時間の短縮について検討した。 【方法】未使用である3種類のNiTiロータリーファイルを使用した。それぞれ先端から5mmの部位をバイスで固定し、回転して破断させたものを試料とした。浸漬薬剤には、10%(w/v)次亜塩素酸ナトリウム溶液に19%(w/v)塩化ナトリウムを加えて調製した薬液(以下NCN)と、pH4.5に調整したリン酸酸性2%(w/v)フッ化ナトリウム溶液(以下APF)を、それぞれ1試料当たり5ml用いた。薬液温度は、25、37、45、60℃の4条件を設定し、NCNおよびAPFにそれぞれの温度条件で浸漬した。そして、1、3、6、24時間後の経時的な重量変化を測定し、さらに3時間後における破断側についてSEM像および3次元表示による観察を行った。 [結果]NiTiファイル破折片は、NCNおよびAPFにおいて、薬液温度の上昇にともない重量減少が速く認められた。また、25℃のNCNに浸漬したファイルは溶解が認められなかった。SEM像および3次元表示による観察では、薬液温度を上昇させたものほど溶解速度が促進した様相が認められた。 [結論]以上のことから、NCNおよびAPFにおいて、薬液温度を上昇させることは、浸漬させたNiTiファイル破折片の腐食溶解に要する時間を短縮させることが明らかとなった。破折ファイルの除去法を確立するためには、臨床における治療時間の短縮が不可欠であり、本年度の結果は極めて重要である。
|
Research Products
(5 results)