2012 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー照射した齲蝕病変―μCT法による再石灰化現象の4次元観察
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22791847
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
柬理 頼亮 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (40366761)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 病理学 / 保存修復学 / 初期齲蝕 / レーザー / 再石灰化 |
Research Abstract |
予備実験および初年度に確立した平滑面白斑う蝕、裂溝う蝕、根面う蝕のμCT立体構築法とミネラル濃度表示法を用いて、初期う蝕病変を含む歯面への再石灰化処理による病変回復プロセスを経日的に追跡している。本年度はμCT立体構築と無機塩濃度表示により、レーザー照射による病状の形状変化と再石灰化の進行度を評価した。本学倫理委員会規定の下に使用を許可された抜去歯に対して脱灰・再石灰化処理を施した後にバンドソーにて歯質ブロックを作製し、歯面塗布剤を併用してレーザー照射を行う中で時系列でのμCT立体構築像と無機塩濃度変化を定量解析した。病巣領域の無機塩濃度表示に向けては、既知の無機質密度を持つ標準物質 (合成ハイドロキシアパタイトと樹脂の混合物、アルミ箔、健全ヒトエナメル質)を歯質試料と同条件下で撮影し、密度 vs CT値の検量線を設定した。来年度も前年度に引き続いて歯牙表面に自然発症した白斑齲蝕に対するレーザー照射を継続し,データ収集に努め、脱灰・再石灰化実験モデルにおける4D観察プロトコールを確立する予定である。また、これらの実験を進行しながら、従来の実験にて採用されてきた非脱灰研磨薄切標本の作製を行い,初期齲蝕のレーザー照射による回復機構に関する総括的評価を予定している。このレーザー照射実験モデルは、初期齲蝕病変への新たな治療法を確立するものとして、極めて重要な実験計画であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レーザーを照射して歯質内部の回復を期待し続けたが、レーザーが直接照射される歯質の外表面の色調が周囲の健常なエナメル質の色調に極めて近づくのみであり、完全な齲蝕病巣の消失がみられない状況が現在もなお続いている。実験方法に不手際がなかったかを調べなおすためにいささか時間を費やしたが、機材の劣化や手技・方法に問題は無かった。このことから現在実際に臨床で行われているレーザー機器を用いた齲蝕予防は推奨できない診療方法ではないかと現段階では考えざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して例年と同様の照射・肉眼観察・CT撮影・立体構築による齲蝕領域の容積の減少の度合いをデータ収集して解析していく予定である。ただ、11.現在までの達成度にも記したように、照射した領域の表層部のみのエナメル質の色調が周囲の健常エナメル質のそれに似かよってくるのみで、実験で観察対象とした初期齲蝕全領域の、特に深層部には予想に反して変化および効果がほぼみられない。予想では、フッ化ナトリウム塗布とレーザー照射を組み合わせた方法(レーザーサンドイッチ法)が齲蝕領域の縮小・消失を期待したが、現時点での状況を結果として受け止め、従来の方法を見直す形式をとり、対応策としてレーザーの出力や照射方法の比較・対照を行うことで、最適な条件の検索を実験内容に追加する。
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