2010 Fiscal Year Annual Research Report
弱酸性次亜塩素酸水を用いた新規歯牙漂白材の開発とその評価
Project/Area Number |
22791849
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
西村 知子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (70367259)
|
Keywords | 歯牙漂白 / 二酸化チタン |
Research Abstract |
高濃度の過酸化水素を用いるウォーキングブリーチや生活歯のOffice Bleachingはエナメル質脱灰や歯周組織傷害性が問題視され,より安全性の高い漂白材が望まれている。カンファスイのバイタルブリーチングへの臨床応用を検討するために有効塩素濃度および歯周組織に対する細胞障害性を検討した。細胞障害性試験供試液としてカンファスイ(pH6.5)を使用し、歯肉上皮細胞と歯肉線維芽細胞に対する細胞障害性を測定した。細胞障害性の測定は調整した歯肉線維芽細胞および歯肉上皮細胞を播種し、48時間培養後カンファスイを添加し、さらに24時間培養後細胞生存率の指標となる生細胞中の酵素活性を測定し、細胞生存率を求めた。結果、カンファスイのヒト歯肉線維芽細胞およびヒト歯肉線維芽細胞に対する細胞障害性はカンファスイ未添加群との間に有意差はなく歯周組織に対する障害性は認められなかった。増粘材による有効塩素濃度維持の検討アルミナ系シリカ(松風)、ガラスビーズ(松風)、ハイドロキシアパタイトを選択し、カンファスイに適度な粘性を有するまで混和した。調整した試作漂白材は混和後各々の時間の残留塩素濃度を測定した。結果、アルミナおよびガラスでは残留塩素濃度の低下は認められなかったものの経時的に沈殿が認められた。HAPはカンファスイとの混和によりクリーム状となり、180分経過後も残留有効塩素濃度の低下は認められなかった。これらの結果より、カンファスイは安全で、かつHAPを添加することにより臨床応用が可能であることが示唆された。 また、二酸化チタンを用いたピレーネ(モリタ)と高濃度過酸化水素を用いたハイライト(松風)との漂白によるエナメル質表面に与える影響を再度比較検討したところ、ピレーネは歯面になんら悪影響を及ぼさないことが明らかとなった。
|