2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体安全性を考慮した口腔内シリカコーティング法の開発
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22791850
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
田中 隆博 神奈川歯科大学, 歯学部, 特別研究員 (90550830)
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Keywords | ポリシラザン / セラミックス / 齲蝕予防 / 赤外分光スペクトル / シリカガラスコーティング / 齲蝕治療 / レーザー / 耐酸性 |
Research Abstract |
齲蝕は歯科における2大疾患の一つであり,これまでに齲蝕に対する治療法,齲蝕により除去された歯質を補うための素材の研究は数多くなされているが,齲蝕予防に主眼を置いた予防処置法,それに関わる素材の研究は少ない.シリカに代表される無機材料の特徴は物理的に堅固であり,化学的にも安定である.このような優れた特徴を有するシリカ薄膜で歯面をコーティングできれば,歯質の性状を変えることなく耐摩耗性や齲蝕予防効果を示す.本研究の目的は,シリカ前駆体としてペルヒドロポリシラザン(PHPS:perhydropolysilazane)を用い,歯質表面に口腔内でシリカ薄膜を形成し,さらに生体への為害作用が少ないシリカ転化方法を開発することであり,これにより広く口腔の健康維持,増進に寄与し,国民福祉の向上の一助とするためである.その結果,平成23年度は以下の成果を得た.(1)PHPSによるシリカ薄膜のエナメル質への適応を含まれる溶媒の生体への安全性を考慮し、口腔内で使用可能な溶媒の検討を行い、形成されたシリカの物性確認をフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)にて分析、検討した.その結果,エナメル質上に塗布したPHPSは,FT-IR分析より830cm^<-1>訂1付近のSi-Nおよび880cm^<-1>付近のSi-Hに起因する未反応PHPSの残存を示すピークが得られた.さらにシリカ転化処理として3%の過酸化水素水ペーストを塗布後,炭酸ガスレーザーを照射することにより,1060cm^<-1>と800cm^<-1>付近にシリカ転化を示すSi-Oのピークが得られ,焼成用電気炉にて300℃,3時間焼成したシリカ膜と類似した膜質のシリカ薄膜を得られることを確認した.(2)また,成膜されたシリカ薄膜によりエナメル質の耐酸性を評価するため0.1mMHCl溶液10ml中にサンプルを30分間浸漬し,溶液中に溶出したカルシウムを吸光光度法により測定した.その結果,シリカコーティングを施すことにより非処理エナメル質群と比較し,有意に低いカルシウムの溶出量を示し,優れた耐酸性を有することが示された.
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Research Products
(4 results)