2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791854
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
稲本 京子 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (00469008)
|
Keywords | Er:YAGレーザー / 根管治療 / 細菌 / 根管内細菌 |
Research Abstract |
本年度は、難治性根尖性歯周炎の症例において、根管から頻繁に検出されるE.fecalisを用い、E.fecalisを感染させた歯根象牙質ブロックにEr:YAGレーザー照射を行い、その際のE.fecalisの形態学的観察を行った。また、レーザー照射したE.fecalisの生死を識別し、レーザー照射後の象牙質内への殺菌効果の深度の検討を行った。 <1>ヒト新鮮抜去歯根をエポキシブロックに包埋、歯軸に平行に割断し歯根象牙質ブロックを作製した。E.faecalisを播種したBHI液体培地内にブロックを留置し実験試料とした。試料を移動ステージに固定、照射チップを10pps・30mJの場合は90μm、25pps・30mJの場合は140μm離し、レーザー照射を行った。SEMを用いて形態学的観察を行った結果、レーザー未照射のコントロール群では、類円形のE.fecalis像を認めたが、レーザー照射群では10pps・30mJおよび25pps・30mJともに細菌の萎縮、変性あるいは破壊像が観察された。ただし、照射条件間による形態学的変化に大きな差異は認められなかった。 <2>実験1と同様の手順で試料を作製し、25pps・30mJの条件で、照射チップを140μm離しレーザー照射を行った。照射後、歯根を2つに割断し、断面にLIVE/DEAD染色を施し、生菌と死菌の分布を蛍光顕微鏡で観察を行った。その結果、根管側から約400μmの深さまで、死菌層として確認された。 今回は約400μmの深さまでレーザーの効果を死菌層として認めたが、それ以上に細菌が象牙細管内に侵入している可能性は高い。レーザーによる殺菌効果は物理的作用のため、即効性があり、また薬剤による殺菌消毒と異なり、アレルギーや耐性菌の出現などの副作用は少ないという利点がある。今後さらに根管内の完全な無菌化が得られるような照射条件の検討が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度、23年度の過去2年間において、当初の計画どおり研究が遂行している。すなわち、Er:YAGレーザー装置を用い、人工感染根管における殺菌効果の検討やレーザー照射された細菌の形態学的観察、また象牙質内のレーザーの殺菌効果の深度について検討を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、Er:YAGレーザー装置の根管象牙質中のLPSに対する抗LPS作用や歯根表面の培養繊維芽細胞に対する影響を検討し、根管内無菌化に適したレーザーの照射条件の確立をめざす。
|