2010 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ賦活化による慢性筋痛新規治療法の開発
Project/Area Number |
22791858
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土谷 昌広 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60372322)
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Keywords | 顎関節症 / 索状硬結 / マクロファージ / IL-1 |
Research Abstract |
顎関節症に伴う慢性筋痛の多くは索状硬結の存在を特徴とするが,その発症メカニズムは不明であり,治療法も未だ確立されていない.近年,筋組織の治癒過程におけるマクロファージ(Mφ)の重要性が報告されている.そこで,慢性筋痛の新規治療開発を目的として,マウス咬筋部の疲労回復,および治癒過程におけるMφの役割と賦活化のメカニズムについて明らかとする.マウス(Balb/cマウス,オス,5週齢)を用い,その咬筋部に咀嚼様運動に伴う筋疲労を誘導し,組織内における貪食性マクロファージの動態について検討する.その後,マクロファージ欠損により,筋疲労の回復遅延が生じることを明らかとする. リポゾーム封入クロドロネート(Clo-Lip)の静脈内投与(0.2ml/mouse)により24時間~4日目まで組織内のMφが枯渇する.Clo-Lip投与の結果,マウスの咀嚼様運動の活動量は有意に減少を示した.加えて,主要な筋組織由来サイトカインであるIL-1βの発現量の有意な低下を示した.これらのことから,軽度な筋組織外傷といえる筋疲労時において,Mφには筋機能を維持する機能があり,疲労回復過程において必須な存在であることが証明された. Clo-Lip投与によるMφの枯渇と,それに伴う筋の活動量,およびIL-1βの発現量の低下が認められた. IL-1βには筋組織内の糖代謝の維持への関与について,我々は明らかとした.以上のことからも,Mφ枯渇に伴う運動量の低下は筋機能維持におけるMφの重要性を示す所見であることが明らかである. 本研究において,筋機能の維持におけるMφの役割の解明は,ターンオーバーの盛んな組織である筋の組織構造を維持することを考えた上でも妥当な結果であるといえる.
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Research Products
(4 results)