2010 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸カルシウム‐アルギン酸‐硫酸カルシウム複合化による新規骨再建材料の創製
Project/Area Number |
22791859
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨士 岳志 東北大学, 病院, 医員 (20549323)
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Keywords | 骨再建 / リン酸カルシウム / アルギン酸 / 硫酸カルシウム |
Research Abstract |
本研究は、高い骨形成能を有するリン酸カルシウムを、硫酸カルシウム由来のCa^<2+>を介してアルギン酸と架橋構造を形成することで、柔軟な賦形性を有し、骨欠損の大きさ、形状に左右されることなく応用可能な生体内吸収性骨再建材料を開発することを目的とした。本研究ではまず、将来的なin vivoでの埋入試験を見据え、埋入における十分な操作性を有する形態の付与と、架橋構造内へのリン酸カルシウムの取り込みを可能とする条件設定を行った。まず、リン酸カルシウムおよび硫酸カルシウム量を一定量に固定し、加えるアルギン酸量を変化させた。硫酸カルシウムの量は、いずれの量のアルギン酸ナトリウムに対してもCa2+が過飽和な状態になるように設定されている。また、加えるアルギン酸の量は、過去の実験データを参考に設定を行った。その結果、過量のアルギン酸を加えると充分な形態が付与されるが複合体中にリン酸カルシウムが取り込まれず、少量のアルギン酸では、充分な形態が付与されず、リン酸カルシウムが取り込まれないことを確認した。これは、リン酸カルシウムの多くが、アルギン酸と硫酸カルシウムによって形成された架橋構造内に直接取り込まれていると考えられ、リン酸カルシウムの優れた骨形成能が維持されていることが期待できる。加えるアルギン酸の量をコントロールすることで、形態付与性と骨形成能の維持をともに満たす条件の設定が可能であると考えられ、さらに細かく条件を絞り込む必要がある。複合体は柔軟な賦形性も有しており、将来的には、骨欠損部内での形態維持を可能とする条件を加えることで、リン酸カルシウムが複合体中から直接放出され骨欠損部形態に沿った骨再生が期待できる。
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