2011 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸カルシウム‐アルギン酸‐硫酸カルシウム複合化による新規骨再建材料の創製
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22791859
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨士 岳志 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (20549323)
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Keywords | 骨再建 / リン酸カルシウム / アルギン酸 / 硫酸カルシウム / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
本研究は、高い骨形成能を有するリン酸カルシウムを、硫酸カルシウム由来のCa2+を介してアルギン酸と架橋構造を形成することで、柔軟な賦形性を有し、骨欠損の大きさ、形状に左右されることなく応用可能な生体内吸収性骨再建材料を開発することを目的とした。将来的なin vivoでの埋入試験を見据え、最も効率よくβ-TCPが取り込まれる条件を設定するために、アルギン酸ナトリウムに対してCa2+が過飽和な硫酸カルシウム溶液に、β-TCP(0.5wt%)を加え、さらに過去の実験データを参考に種々の量のアルギン酸ナトリウム粉末(0.25~1.5wt%)を加えて複合体ゲルを作成し、FTIRおよびXRDによる解析を行った。その結果、アルギン酸ナトリウム粉末1.0wt%の条件下で最も効率よくβ-TCPが取り込まれた。申請者はこれまで、複合体作成過程において、アルギン酸濃度を変化させることで、リン酸カルシウムの取り込み効率が変化していくこと、加えるアルギン酸濃度や複合体の精製過程における遠心分離の回転速度が、1)細胞の接着や増殖、リン酸カルシウム放出の為にScaffoldとして求められる気孔径や架橋形態、2)骨再建材料として求められる機械的強度、賦型性、形態保持性の双方の要件に影響を及ぼすことも報告している。このことを踏まえ、本条件下にて遠心分離の回転速度を変化させ、より優れた骨再生能を有する材料の開発を進めていく。一方で、高濃度のリン酸カルシウムは細胞毒性が指摘されており、骨芽細胞に対する細胞毒性を制御する濃度を探索し更なる改良を模索するために、細胞のアポトーシスのメカニズムについて基礎的な実験も行った。これらをさらに進めていくことで、より優れた骨形成能を有する骨再建材料の開発が期待できる。
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