2011 Fiscal Year Annual Research Report
顔面三次元計測に基づく義歯床形態が顔面の整容に及ぼす影響に関する検討
Project/Area Number |
22791860
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塙 総司 東北大学, 病院, 助教 (90431585)
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Keywords | 三次元デジタイザ / 義歯形態 / 顔面計測 / 顔面整容 |
Research Abstract |
顔貌は,義歯の人工歯の排列位置および義歯床形態と非常に密接な関連を有することが知られている.本研究は,義歯装着による顔貌の変化を非接触三次元デジタイザにより客観的に評価することにより,顔貌の整容を図り得る義歯形態を決定することを目的とした. 本年度は,臨床経験が5年以上の歯科医師が顔面非対称と判定した片側性顎欠損を有する顔面非対称患者を用いた.患者顔面の欠損部に相当する皮膚上に7×7個のグリッド点を設定し,義歯装着時および非装着時における計測点の三次元的な移動距離およびその方向を計測した.実験義歯は,通法どおり製作したもの,欠損部頬側床翼部をパラフィンワックスで3mm豊隆させたもの,頬側床翼部を6mm豊隆させたものの3種類を使用した.通法通り製作した義歯を装着した時は義歯非装着時と比較して,欠損前方部の方が後方部よりも移動距離が大きいことが確認され,前方部での移動距離は平均2.1±0.6mm(1.3~2.9mm),後方部での移動距離は0.7±0.3mm(0.3~1.2mm)であった.移動方向は,前方の点では前下外方へ,後方の点は前外方へ移動する傾向であった.3mm豊隆させた義歯を装着した時の移動距離は,前方部で2.9±1.2mm(1.0~4.2mm),後方部で1.2±0.4mm(0.9~1.8mm)であり,移動方向は通法で製作した義歯を装着した場合と同様であった.6mm豊隆させた義歯を装着した時は,前方部で4.9±1.1mm(2.9~6.0mm),後方部で3.0±0.6mm(2.2~3.8mm)であった.移動方向は前方で前外方,後方で外方であった.これらの結果より,前方から後方に均一な豊隆を与えても,皮膚の豊隆は前方の方が後方よりも大きいことが明らかとなった.また,義歯床の豊隆を著しく大きくすると皮膚の移動方向が変化することが認められた.
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