2011 Fiscal Year Annual Research Report
超弾性チタン合金へのECRプラズマ酸化による生体力学親和性インプラントの開発
Project/Area Number |
22791862
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
折居 雄介 東北大学, 病院, 助教 (90549320)
|
Keywords | インターフェイス / インプラント / チタン合金 / 超弾性 / 表面改質 |
Research Abstract |
1.電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ酸化装置を用いた試料の作製と評価 低弾性チタン合金であるTi-Nb-Sn合金上に、ECRプラズマ酸化装置を用いて、酸化ガス種類、圧力、流量、基板加熱温度、酸化時間等の各種パラメータを変化させて酸化被膜の作製を行った。各種条件下で作製された試料について、酸化被膜の組成、結晶構造、微細構造、表面粗さ、酸化被膜厚さ等の機械的性質を評価した。XRD回折から酸化被膜の結晶構造は二酸化チタンの結晶構造で最も安定しているルチル型を示し、温度の上昇に伴ってそのピーク強度は高くなり600℃で最も高くなった。酸化被膜の微細構造は基板加熱温度の影響を受けることがわかり、450℃で微細構造が付与され始め、600℃でクレーター状組織の中に粒状組織が確認された。また、温度が上昇するにつれ表面粗さや酸化被膜膜厚が増加することがわかった。これらは、純チタン上に作製されたチタニア膜と同様の結果を示した。ヒドロキシアパタイトの前駆物質である第8リン酸カルシウム(OCP)の析出により骨誘導性を評価した。ECRプラズマ酸化により、酸化被膜の表面構造や性状が同時に調節され、それらが酸化被膜上への石灰化能にも影響を与えることが示唆された。 2.培養細胞を用いたin vitroでの生体親和性の評価 細胞培養試験において、ST2細胞をECRプラズマ酸化被膜上に播種した際の時間経過による細胞増殖能を評価すると、培養日数の増加とともに増加した。また、骨芽細胞分化の初期の活性マーカーであるALP活性は、播種後3日経過後からECR酸化被膜上で有意に高く、著しく増大することが明らかになった。 生体骨組織との機械的性質の整合を図りうるチタン合金上におけるECRプラズマ酸化による低温短時間での酸化被膜の生成は、生体内での安定性および生体活性向上に良好な影響を与える表面改質法であることが示唆された。
|