Research Abstract |
本研究は,義歯床下圧力動態をヒトにおいて生体内測定するとともに,義歯床下骨組織の骨代謝動態を分子イメージング的方法; NaF/PET画像解析により定量評価することで,その両者の関連を検索し,義歯床下における力と顎堤骨組織の反応の詳細を明らかにすることを目的として行い,以下の結果および成果を得た. 1. PETの撮像条件: 通常の全身PET撮像はNaF5.0mCiを用い20~30分の撮像時間を要するが,顎骨部のみで撮像時間を20分にまで延長することにより,NaF1.0mCiの投与で,鮮明な画像を得た.この方法により1回の撮像における被ばく量を抑え,同一被験者において経時的に複数回撮像することが可能となった 2. 骨代謝の経時的測定: 下顎にKennedy I級の遊離端欠損(抜歯後1年以上経過)を有する被験者3名に,実験用遊離端義歯を適用し,義歯装着前,および装着後経時的に顎骨部のPET/CT撮像を行った.その結果,抜歯後同部に義歯装着経験の無い2名では,全13週間の実験期間を通して,CT値の変化はみられなかったが,SUV値は,実験義歯装着4から6週間後まで経時的に上昇し,13週後では下降に転じた.これらのことから,義歯装着により,義歯床下骨組織の骨代謝回転が亢進し,リモデリングが積極的に進むことが示唆された. 一方,抜歯直後から同部の義歯経験のある被験者1名では,実験義歯装着後,CT値・SUV値共に変化は認められなかった.これらの結果から,抜歯後の有床義歯補綴経験の有無により,実験義歯装着後の床下骨代謝動態が異なるものと推察される.
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