2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22791866
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
福井 雄二 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (80549931)
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Keywords | 支台築造 / 根管壁象牙質 / 歯根破折 / 歯科補綴 / 漏斗状根管 / グラスファイバーポスト / メタルコア / 破壊強度 |
Research Abstract |
構造的に脆弱になった歯根にグラスファイバーポストを適用した場合、歯根破折を生じることがある。そのために残存歯質が薄くなった歯根に対して一般に認知されている手法通りの支台築造を行うことは疑問が残る。 そのため本年度はまず単独支台歯への支台築造に着目し、歯根破折を起こしにくい、すなわち機能時に歯根象牙質に大きな応力集中を生じにくい築造用材料について考察することとし、研究指導をした大学院生が以下の雑誌論文を発表した。(Kumagae N et al. Inf1uence of the flexural modulus of prefabricated and experimental posts on the fracture strength and failure mode of composite resin cores: Dental Materials Journal, 31(1), 113-9, 2012) この研究では、歯根象牙質よりも弾性係数の低い試作ポストを用いた際の築造体の破壊強度を、従来のグラスファイバーポストを用いた場合の破壊強度と比較し、有意な差がなかったことを報告している。 また、学会発表として、菲薄な根管壁をコンポジットレジンで補強し、メタルコアによる支台築造を行う方法について報告した。(Fukui Y. New core buildup method using composite resin: The 1stTtri-University Consortium on Oral Science and Education, Bangkok, Thailand, 2011.) これらの知見は、単冠修復よりも大きな応力がかかるブリッジの支台歯にとっても重要なである。根管壁の薄くなった歯をブリッジの支台歯とするのは不安の残る処置であるが、最適な方法を模索することで、より予見性の高い歯科治療を提案できれば、医療者、患者双方にとって有益であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点において単独歯に対する支台築造についての研究をさらに深める必要があると考えられるため熊谷らによる論文発表を行った。そのため当初計画していた実験に若干の遅れがあるが、それらについても現在進行中であることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
歯根破折と機能時の歯根への応力集中との関係が指摘されており、支台築造に用いる材料には歯根象牙質に近似した弾性係数、すなわちたわみにくさが求められる。一方でブリッジの支台歯には欠損側へ引き倒すような力がかかるため、歯頚部への応力集中を緩和するために単冠修復の支台歯以上の高い剛性が求められる。それら、ある意味では相反する性質が要求される条件にあって最も望ましい治療法を探るべく、支台築造を行ったブリッジモデルにおける歯根及び補綴物の表面歪みを測定し、学会発表、論文投稿を行う。表面歪みから歯根や補綴物の破折、また接着力の破綻についても予測することができるため、これを測定することの意義は大きいと言える。
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