2010 Fiscal Year Annual Research Report
舌・咀嚼筋組織の早期再生を可能にする骨格筋移植体作製技術の開発
Project/Area Number |
22791879
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 宗正 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70467588)
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Keywords | 幹細胞 / 組織工学 / 周期的伸展刺激 / 骨格筋再生 / 骨格筋移植体 |
Research Abstract |
舌、咀嚼筋は補綴歯科治療の予後を左右する非常に重要な組織であり、これらの組織欠損は患者のQOLに大きな影響をおよぼす。生体内外において組織や臓器を形成する工学的な技術であるTissue Engineeringは、舌、咀嚼筋組織の再生においても低侵襲な再建およびQOLの回復を可能にする技術として期待されている。本研究計画の目的は、腫瘍摘出などによって欠損した舌、咀嚼筋組織を早期再建するための細胞組織工学技術を開発することである。我々は、患者由来の細胞源として、その採取にあたり侵襲が少なく、比較的容易、安全に行うことのできる骨髄由来間葉系幹細胞に着目している。本年度は、マウス骨髄由来間葉系幹細胞に生体内の環境を模倣した伸展刺激を試験管内で与えることで、効率的に筋管細胞分化を誘導するための条件検討を行った。その結果、0.17Hzで10%の周期的伸展刺激はこの細胞を24時間以内に一方向に配向させることが明らかとなった。また、筋芽細胞分化誘導培地中で同様の機械的刺激を与えると高度に配向した筋管細胞を誘導可能であった。このように分化誘導した筋管細胞は、骨格筋特異的遺伝子およびタンパク質を発現していることを確認した。配向した筋管細胞は、伸展刺激を止めて静的環境下で培養しても、配向を崩すことなく形態を維持した。また、筋芽細胞株を用いた実験では、分化誘導後に伸展周期を増加することによって、筋管細胞がシート状に剥がれる性質を有することから、配向した筋管細胞シートが筋組織欠損部位への移植材料として有用である可能性が示唆された。今後、マウスにおける筋組織欠損モデルを作製し、筋管細胞シートの移植による組織再生を評価していく予定である。
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