2011 Fiscal Year Annual Research Report
末梢型ベンゾジアゼピン受容体遺伝子解析の治療リスク診断への応用
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22791898
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
牧野 路子 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (50550729)
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Keywords | ストレス / ブラキシズム / 遺伝子 / 唾液 |
Research Abstract |
補綴治療の失敗や歯冠修復物の破折などの誘因の一つである睡眠時ブラキシズムは精神的ストレスと密接な関係がある不随意運動と考えられている.また,精神的ストレスの指標として血小板における末梢型ベンゾジアゼピン受容体(以下PBR)が注目されており,さらにPBRの遺伝子多型の解析からストレスに対する感受性を評価することが可能であると報告がされている.これより,PBRの遺伝子多型と睡眠時ブラキシズムの関連を明らかにし,PBRの遺伝子検査により睡眠時ブラキシズムの診断と遺伝的リスクを診断することを目的とした.睡眠時ブラキシズムの評価方法として,携帯型筋電型を用いて評価した。精神的ストレスマーカーとして唾液中CgAを,ストレスの感受性の評価としてPBR遺伝子多型の同定と特性不安検査(STAI)を行った.PBR遺伝子多型群(G/A群)では有意にブラキシズムイベントが多く認められた。PBR遺伝子多型群(G/A群)は睡眠時ブラキシズム発現のリスクが高い可能性が示唆された.睡眠前後のCgA濃度はG/A群では減少していたものの,G/G群では逆に増加傾向が認められた.不安を受けにくいといわれているG/A群は、睡眠前後で精神的ストレス指標のCgA量が減少する傾向が示されたことから,PBR遺伝子多型保有者は睡眠時ブラキシズムをすることでストレスを抑制している可能性が示唆された. PBR遺伝子多型は睡眠時ブラキシズムおよび睡眠前後のストレス変化に影響を及ぼす可能性が考えられることから、睡眠時ブラキシズムの遺伝的リスク診断、さらには補綴治療の遺伝的リスク診断の可能性を示唆する意義深い研究である。
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