2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞に対する歯髄由来神経幹細胞の応用に関する研究
Project/Area Number |
22791899
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20399900)
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Keywords | 脳梗塞 / 歯髄 / 神経幹細胞 / 分化 / 細胞移植 |
Research Abstract |
4週齢のWister系雄性ラットをジエチルエーテルにて安楽死させた後、下顎骨の下顎角部から下顎下縁の下顎骨を分割し、左右下顎切歯の歯髄組織を無菌的に摘出した。抗真菌剤および抗菌剤に浸した後、0.1%コラゲナーゼ溶液に5時間浸漬し、線維を溶解した。細胞をPBSで洗浄し、神経幹細胞の分離を行った。 1.歯髄から得られた細胞を汎用のマグネットビーズが結合した神経幹細胞マーカーに対する抗体(nestin)と反応させ、専用の磁石で回収することにより、特定のマーカーを発現した細胞のみを回収した。その後、神経細胞誘導培地で培養したものの、ビーズによる回収率が低く、その後の細胞の増殖、分化は認められなかった。 2.Nature Publishing Groupにより公開されているNature protocolsに掲載されているニューロスフェア法によって、採取した歯髄細胞を培養した。約1週間後に、細胞の細胞塊(ニューロスフェア)の形成が認められた。1×10^6個の全歯髄細胞を1週間培養することで、1×10^6個のニューロスフェアを形成する細胞が得られた。得られたニューロスフェアをメッシュにより分離し、継代したところ、一定の増殖はみとめたものの(約1.2倍)大量の培養には至らなかった。しかしながら、これらの細胞を神経細胞誘導培地にて1週間培養し、神経細胞のマーカーであるneuron-specific enolase (NSE)に対する抗体を用いて染色したところNSEは陽性であった。また、real time RT-PCRにより神経栄養因子の1つであるBrain-derived neurotrophic factorを発現していることが明らかとなった。 以上のことから、歯髄細胞をニューロスフェア法により培養して得られた細胞は、脳梗塞治療に応用できる可能性があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)