2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞に対する歯髄由来神経幹細胞の応用に関する研究
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22791899
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20399900)
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Keywords | 脳梗塞 / 歯髄 / 神経幹細胞 / 分化 / 細胞移植 |
Research Abstract |
4週齢のWister系雄性ラットをジエチルエーテルにて安楽死させた後、下顎骨の下顎角部から下顎下縁の下顎骨を分割し、左右下顎切歯の歯髄組織を無菌的に摘出した。抗真菌剤および抗菌剤に浸した後、0.1%コラゲナーゼ溶液に5時間浸漬し、線維を溶解した。細胞をPBSで洗浄し、神経幹細胞の分離を行った。ニューロスフェア法によって、採取した歯髄細胞を培養した。約1週間後に、細胞の細胞塊(ニューロスフェア)の形成が認められた。11週齢のWister系雄性ラットから、中大脳動脈を塞栓する脳梗塞モデルラットを作製し、梗塞から3時間後に上記のニューロスフェアを分解した神経幹細胞1×10^6個を大腿静脈から移植した。脳梗塞後に生理食塩水のみを投与する対称群を設定し、細胞を移植した投与群とともに、以下の試験を行った。 (1)運動感覚機能を調べるため、1週間置きにLimb Placement Testを行った。 (2)Treadmillによる歩行能力評価を評価した。 (3)Rotarodによる協調運動能力を評価した。 Limb Placement Testでは、両群ともに、脳梗塞後運動感覚機能の回復を示した。脳梗塞後4週目のTreadmillによる歩行能力の評価では、投与群が対称群に比較して優位に高い値を示した。また、脳梗塞後2週目および4週目のRotarodによる協調運動能力では、投与群が対称群に比較して優位に高い値を示した。 以上のことから、歯髄細胞をニューロスフェア法により培養して得られた細胞は、脳梗塞治療に応用できる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の計画では、歯髄からの幹細胞の作製および、それらの細胞の脳梗塞モデルラットへの投与を計画していた。23年度が終了した段階で、歯髄から作製した幹細胞を、脳梗塞モデルラットへ投与し、その回復過程、運動機能評価を行うことができたため、本研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
歯髄から得られた幹細胞が、脳梗塞後遺障害の回復促進にどのように関わっているかを解明するために、標識を行った幹細胞を投与し、脳内の分布を分析する予定である。さらに、これらの投与した細胞が、神経細胞に分化しているか否かを評価するために、神経細胞に特異的なマーカーを利用して、その分化について評価を行う予定である。
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Research Products
(2 results)