2010 Fiscal Year Annual Research Report
総義歯製作システムの新機軸-可変式ゴシック床・連結リンガライズド人工歯の応用-
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22791902
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
山本 裕信 明海大学, 歯学部, 講師 (60383204)
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Keywords | ゴシックアーチトレーサー / 矢状・側方切歯路角 / 調整機構 |
Research Abstract |
研究計画に基づき可変式ゴシックアーチトレーサーの試作および調整機構の構成・材質の検討を行った。また口腔内での試用を行い臨床応用時における機能的な検討を行った。 従来のゴシックアーチ描記装置に加え側方運動の際,下顎を下方へ誘導するためのガイド機構の側方切歯路傾斜角を10度単位で調節すべく,可撤式のジグを4種類(ウィング角:10,20,30,40度)製作した.これらのウィングジグを症例に応じて選択し,描記板上に固定して使用する.描記板への固定にはウィングジグ固定用リングを用いることでウィングジグを交換できるようにした.健常有歯顎者,無歯顎者を対象として,本装置を応用して,ゴシックアーチ描記法とチェックバイト採得法を実施した.その際に必要となった咬合挙上量を計測するとともに半調節性咬合器の顆路角調節を行った結果,ゴシックアーチ描記に必要な咬合挙上量は0.8mm±0.4mmであり,従来の装置と比較すると必要な咬合挙上量はわずかとなった,また上下顎全部床義歯装着者において本装置により側方チェックバイトの採得を行い,半調節咬合器の顆路角を調節した後,全部床義歯を作製・装着し,側方運動時の咬合調整量を従来のものと比較検討した結果,全部床義歯装着後の側方運動時の咬合調整がほぼ不要となった. 臨床応用においては上下顎義歯の人工歯咬合面の咬耗が進行し咬合面再形成が必要なケースに本装置を適用した.使用中の義歯に本装置を組み込んだのち咬合面に光重合レジンを築盛し口腔内にて前方および側方運動を行わせた.なお,ウィングジグの角度は前方・側方運動を行わせスムーズに運動が可能で適度な離開量が得られた20度を選択した.咬合面への光照射ののち両側性平衡咬合のリンガライズドオクルージョンとなるよう咬合調整を行った結果,両側性平衡咬合の付与を容易にかつ正確に行うことができた 以上より試作した可変式ゴシックアーチトレーサーは有歯顎者および義歯装着者のいずれにおいても有用となる可能性が示された.
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