2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化アミノ酸誘導体によるベータ型リン酸三カルシウム骨補填材の生体親和性の向上
Project/Area Number |
22791903
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山田 将博 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90549982)
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Keywords | 骨再生 / リン酸三カルシウム / 活性酸素 / 抗酸化 / 生体親和性 / 骨再生 / 骨芽細胞 / 多机能化 |
Research Abstract |
ベータ型リン酸三カルシウム顆粒(β-TCP)は生体吸収性人工合成骨補填材として注目されているにも関わらず、その生体親和性は未だ改善の余地がある。今回、アクリル系レジン材料の解毒をすることが証明された抗酸化アミノ酸誘導体であるN-アセチルシステイン(NAC)を用いて、β-TCPの生体親和性向上を試みた。8週齢のSDラット頭頂骨骨髄由来間葉系幹細胞を骨分化誘導培地中で培養し、未添加β-TCP顆粒、NAC添加β-TCP顆粒上に播種し、一定培養期間後、細胞生存率および付着細胞数、アルカリフォスファターゼ(ALP)活性の定量を行うことにより、β-TCPによる細胞生存活性および機能発現への影響と、NACによるその変化を評価した。播種1日後の未添加β-TCP顆粒上の細胞生存率は20%程度だったのに対し、NAC添加β-TCP上では40%だった。播種1日後のNAC添加p-TCP上の接着細胞数は未添加β-TCP顆粒上に比べて20%増加した。培養7日後のALP染色陽性面積率は未添加β-TCP上で4%未満だったのに対し、NAC添加β-TCP上では50%にまで達した。これら結果から、NACを応用することで、p-TCP上の骨芽細胞の生存活性と機能発現は改善し、その結果、β-TCP上の骨再生は亢進することが細胞生物学的に示唆された。NACはすでに医薬品や化粧品の成分として使用されている化合物であり、また、廉価であるため、その臨床応用実現の可能性は潜在的に高い。補綴前処置として行われる骨増生において高い臨床的効果を有し、インプラント補綴をはじめとした顎顔面機能再建の適応拡大、治療効果の向上へと繋がり、また、理論的根拠の高い、明解な細胞生物学的機序が示された、実現性の高い骨補填材機能亢進技術の開発が期待される
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