Research Abstract |
本研究の目的は,早期の骨生着を促し,さらに術後長期経過による骨吸収を抑制することが可能な,生体骨組織の構造を高度に模倣した人工骨移植材料を創製することである.本申請研究は生体骨移植材料の無機結晶配向に着目しており独創性が高く,次世代の骨再生技術開発に位置付けられる.本年度では,これを達成するために,配向ゲルシステムを用いた骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)の培養法および骨芽細胞分化誘導法の確立を目指した.本年度研究計画遂行の結果,配向ゲルシステム内で,BMSCは高度に配向した三次元細胞群を形成することが明らかとなった.また,骨系分化に有用な試薬を培養液に添加することで,ゲル内部におけるBMSCの骨芽細胞分化誘導法を確立した.この方法を用いることで,配向ゲル内部に高度に配向した骨基質やハイドロキシアパタイト沈着を誘導することに成功した.細胞を用いる生体材料をin vitroで構築するためには,材料内における細胞の機能制御(細胞増殖および細胞分化)を行う必要がある.本年度では,配向ゲルシステムに加える応力を変化させた場合の,ゲル内細胞の機能変化を評価した.その結果,応力を増加させることで細胞増殖が促進し,応力を減少させることで細胞分化が促進することを明らかとした.このことから,配向ゲルに加える応力を制御することで,ゲル内部の細胞機能制御が可能になることが明らかとなった. 本年度の研究成果は,配向ゲルを用いたin vitroシステムで機能的な生体骨移植材料を迅速に構築するにあたり,有用な知見となる.
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