2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体骨組織の構造を模倣したヒト細胞由来人工骨移植材料の開発
Project/Area Number |
22791926
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 淳一 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50530490)
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Keywords | 組織工学 / 生体材料学 / 再生歯学 / 骨再生 / 歯科理工学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,早期の骨生着を促し,さらに術後長期経過による骨吸収を抑制することが可能な,生体骨組織の構造を高度に模倣した人工骨移植材料を創製することである.本申請研究は生体骨移植材料の無機結晶配向に着目しており独創性が高く,次世代の骨再生技術開発に位置付けられる.本年度では,初年度に得られた知見を援用して,生体骨組織の構造を高度に模倣した生体材料の創製に取り組んだ.具体的には,骨髄間葉系幹細胞(BMSC)のみから成る構造体(細胞集合体)を作製し,培養培地に骨系分化に有用な試薬(アスコルビン酸,デキサメタゾン,β・グリセロフォスフェイト)や細胞増殖因子(BMP2等)を添加して培養を行った.その結果,細胞集合体の中心部に石灰化基質,その周囲に軟骨基質が沈着したハイブリッド材料を作製することに成功した.この細胞集合体を構成するBMSCを取り巻く環境について検討を行ったところ,低酸素および低栄養状態であることが分かり,これは生体骨組織に存在するBMSCと同様の環境であることが明らかとなった.また,中心部に形成された石灰化沈着について定性解析を行ったところ,骨組織の主成分であるハイドロキシアパタイトであることが示された.本研究で創製した細胞集合体は,生体内と同様の環境をin vitroにおいて再現することで骨様組織が構築可能な,生体骨組織を高度に模倣した新規材料である.本研究によって,細胞集合体が有用性の高い新規骨移植材料に応用可能であることが示された.
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