2011 Fiscal Year Annual Research Report
優れた生体適合性を長期的に維持できるチタンインプラントの表面改質
Project/Area Number |
22791939
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
柴田 陽 昭和大学, 歯学部, 助教 (30327936)
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Keywords | チタン / インプラント / フリーラジカル |
Research Abstract |
チタンインプラント生体適合性は,加工直後の新鮮面がピークであり,表面に吸着する疎水性炭化水素の影響により経時的に悪化することが,「チタンの生物学的老化」という造語を用いて米国の一研究機関から強調されており研究者や臨床家の間に不安と動揺が広がっている.このため,加工直後の理想的な生体適合性を持続的に維持できるチタンインプラントの表面改質が求められている.本研究の目的は,放電陽極酸化処理によりチタンの持続的生体適合性達成することである.電解液中で放電陽極酸化処理したチタンおよび未処理のチタン表面への,疎水性炭化水素の吸着および親水性の変化による,経時的な生体適合性の変化を検討した.研磨チタン,陽極酸化チタンおよびTi-Clを実験室の雰囲気で保管し,表面に吸着する有機物,主に炭化水素の経時的上昇をX線光電子分光分析法を用いて経時的に測定した.同時に,試料表面に吸着した酸素のピーク分解により,陽極酸化処理したチタン上に発生する活性酸素を検出した.各試料表面の経時的な親水性の変化を測定する.親水性の変化は,試料表面に脱イオン水を接触させ,広がった水滴と試料表面との接触角(°)を測定.吸着炭化水素と親水性の変化に伴う,細胞接着性タンパク吸着能を各試料上で測定.血清培地に浸漬した試料表面に,各種細胞接着性タンパクを認識する蛍光ラベル抗体分子を反応させた.蛍光顕微鏡下で撮影した画像解析により,各試料表面に対する細胞接着性タンパクの接触面積を測定,陽極酸化チタン表面に発生するフリーラジカルの細胞遺伝子レベルの為害性を検討.各試料に骨芽細胞を播種し,細胞膜インテグリンから石灰化までのmRNAをRT-PCR法を用いて詳細に分析した.Ti-Clではフリーラジカルの発生により経時的な劣化が見られず,チタンインプラントの表面処理として有効である.
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