2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経・筋疾患に対する新規細胞医療法の開発:歯根膜の細胞ソースとしての可能性を探る
Project/Area Number |
22791943
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
富永 徳子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (90546532)
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Keywords | 歯根膜細胞 / 筋細胞 / ニューロン / 再生医療 / mdxマウス / 脊髄損傷マウス / パッチクランプ / 活動電位 |
Research Abstract |
我々は、ラット歯根膜由来細胞から筋細胞と神経(ニューロン)の分離をおこない、分離した細胞は継代培養による維持が可能であった。本研究は、分離したラット歯根膜由来筋細胞およびニューロンの機能解析とヒト歯根膜組織から同細胞の分離を目的とする。また、歯根膜由来筋細胞はmdxマウス(デュシャンヌ型筋ジストロフィー疾患モデルマウス)に、歯根膜由来ニューロンは脊髄損傷モデルマウスにそれぞれ移植することで運動機能の回復を図るという、新たな細胞移植による再生医療の開発を目指す。そこで、平成23年度は、ラット歯根膜由来筋細胞に着目した。以下に研究概要を示す。 (1)活動電位測定:分離した筋細胞が機能を持っているかを検討するため、パッチクランプ法により活動電位の測定を行った。測定の結果、心筋様または骨格筋様の活動電位をもつ細胞が確認された。また、分離した筋細胞を2%horse serum含有DMEM/F12で培養し筋分化誘導を行うことで、0mVであった静止膜電位が-70mVに変化することが確認された。 (2)免疫染色:分離した筋細胞に心筋様、骨格筋様の活動電位をもつ細胞の存在が確認されたことから、心筋マーカーであるToroponinI,骨格筋マーカーであるToroponinTにて免疫染色をおこなった。また、典型的な活動電位は測定できなかったが、平滑筋細胞は心筋と同様に中胚葉細胞から分化するため、平滑筋マーカーであるsmooth muscle actin(SMA)による免疫染色を行った。染色の結果、ToroponinT、またはSMAに陽性を示す細胞と、ToroponinIに弱陽性を示す細胞が確認された。 (3)シングルセルPCR:パッチクランプ法で活動電位を測定した細胞をもちいてシングルセルPCRをおこなうことで、活動電位のパターンと筋特異的遺伝子(心筋、骨格筋、平滑筋いずれか)の発現が一致するかを検証中である。
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