2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791951
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
的場 あつ子 (青井 あつ子) 東北大学, 病院, 助教 (70547257)
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Keywords | 術後疼痛制御 / ナノバブル / 分子導入 |
Research Abstract |
手術後急性疼痛や慢性疼痛、癌性疼痛の制御の手段として、物理学的手法の一つである超音波とナノ・マイクロバブルを利用した分子デリバリー法を用い、疼痛部位や支配神経周囲へ疼痛抑制関連遺伝子を導入することによって、安全かつ副作用が少なく、良好な覚醒状態を維持した鎮痛療法を確立するための前実験として、本年度は以下のような実験を行った。ラットに脊髄カテーテルを留置し術後急性疼痛モデルラットを作成後、2種類のナノバブルでその生体安全性を確認した。ナノバブルを脊髄カテーテルによってラット脊髄腔内へ投与し、赤外線熱刺激試験でラットの行動評価を行った。一方のナノバブルで刺激性が認められラットの疼痛閾値の低下がみられたが、ナノバブルを稀釈することで侵害刺激を回避できることを確認した。このナノバブルの濃度において分子導入が可能なことは以前に確認しており、ラットに侵害刺激を加えることなく安全に分子導入ができる可能性が示唆された。また、予備実験として疼痛抑制分子とナノバブルの混合液をラット脊髄腔内へ投与し、その効果を赤外線熱刺激試験で評価した。疼痛抑制分子単独投与の場合と比較して、混合液を投与した場合には疼痛抑制効果時間の明らかな延長が見られた。以上より、ナノバブルによる疼痛抑制増強効果が確認でき、術後疼痛制御に対する新たな可能性が示唆された。超音波照射時の作用増強効果は現在確認中であるが、いまだ結果は得られていない。
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