2010 Fiscal Year Annual Research Report
再生軟骨組織における免疫特権構築メカニズムの検証と再生軟骨医療への応用
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22791956
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 夕子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50466744)
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Keywords | 再生医療 / 再生軟骨 / 免疫特権 |
Research Abstract |
本研究では、独自に開発したマウス同系再生骨移植の実験系に、各種の組織反応抑制因子(免疫特権関連因子)の遺伝子改変マウスを導入して、足場素材を含有する再生組織における組織反応のメカニズムを解明し、再生軟骨医療の発展に貢献することを目指している。生理的軟骨組織およびマウス軟骨再生モデルにおける免疫特権関連因子の発現・局在解析では、まず、マウス耳介軟骨組織における免疫特権関連因子の発現を免疫組織化学的に検討した。その結果、耳介軟骨組織の軟骨細胞において、Fas ligand(FasL)やTransforming growth factor-β(TGF-β)の局在が認められた。一方、マウス耳介軟骨細胞をポリ乳酸(PLLA)多孔体へ播種し、背部皮下へ同系移植した再生軟骨組織では、移植後2週でFasL、TGF-β、Substance Pなどの著明な局在が観察された。次に、培養軟骨細胞の再分化と免疫待権関連因子の発現との相関性をreal-time PCRを用いて検討したところ、FasLと軟骨分化マーカーII型コラーゲンの発現は相関せず、むしろ逆相関する傾向を示した。軟骨細胞とマクロファージの共培養系における軟骨細胞の免疫制御の検証では、マウスマクロファージRAW264とマウス耳介軟骨細胞との共培養系を用いて免疫制御を検証した。Cytotoxic assayにおいて、軟骨細胞はRAW264に細胞死を誘導した一方、RAW264は軟骨細胞に細胞障害作用を示さないことが明らかとなった。更に、FasL機能不全を有するgldマウスから採取した軟骨細胞で同様に検討したところ、野生型マウス由来軟骨細胞と比較しRAW264に対する細胞死誘導能が低下することが示された。以上から、軟骨細胞が有するFasLが、マクロファージの活性や局在制御に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)