2010 Fiscal Year Annual Research Report
microRNAを用いた末梢神経障害における新たな神経再生療法の開発
Project/Area Number |
22791957
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古賀 陽子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10392408)
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Keywords | 神経幹細胞 / 神経損傷 / microRNA / 再生医療 / 末梢神経 |
Research Abstract |
【目的】顎顔面領域において治療が困難と考えられている神経障害、特に末梢神経障害に対する新しい神経再生の治療開発を目指すことを目的とした。そこで申請者は、まず基礎的な分子生物学的解析が必須であると考え、脳特異的に全てのmicroRNAの発現を抑制させたDicer遺伝子操作マウス(DicerCKO)の神経幹細胞を用いて、顎顔面領域における神経損傷・障害と関連する遺伝子の同定し、将来的には、末梢神経再生の治療に結びつける。【結果】(1)増殖能の検討では、DicerCKOにおいて顕著な神経幹細胞(ニューロスフェア)の減少と増殖能の低下が認められた。また、DicerCKOのニューロスフェアが自己複製能を有していることが確認できた。(2)DicerCKOのニューロスフェアの分化能の検討においては、神経分化マーカーのTuj1, GFAP, O4の発現にアブノーマルな神経分化を認めた。(3)DicerCKOの染色体の核型(カリオタイプ)の検討を行い、マウスの染色体数(2n=40)に異常は認めなかった。(4)DNAのメチル化を検討するために、H3K9me3およびHP1βの発現の有無や差異を検討した。その結果、DicerCKOのニューロスフェアにH3K9me3およびHP1βの発現は認めたが、核の形態が肥大傾向にあり、ヘテロクロマチン構造に影響していることが示唆された。【結語】以上の結果より、さらなる生物化学的検討が必要ではあるが、microRNAが神経幹細胞およびその細胞運命を制御していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)