2011 Fiscal Year Annual Research Report
口唇口蓋裂の一貫治療への患児由来羊膜および羊膜間葉系細胞の応用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22791966
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
津野 宏彰 富山大学, 大学病院, 医員 (70377290)
|
Keywords | 口唇口蓋裂 / 再生医学 / 羊膜 |
Research Abstract |
申請者は、口唇口蓋裂患児と両親の負担軽減のため、その一貫治療において患児本人由来の羊膜組織および羊膜間葉系細胞を応用することを検討している。具体的には、(1)口蓋形成術(push-back法)時に生ずる粘膜欠損に対して、あらかじめ乾燥保存しておいた羊膜組織を用いることにより創部瘢痕形成を抑制し、良好な顎成長を促す。(2)顎裂部骨移植術時の移植材として、羊膜間葉系細胞を用いた骨組織工学を応用することで、手術回(創)数の低減を試みることを前提としており、本研究は小児に対する臨床応用の安全性の確認とその指摘条件の確立のための基礎的研究を行うことを目的としている。 昨年度の羊膜間葉系細胞の骨芽細胞分化誘導研究にて、羊膜由来間葉系細胞が骨分化能を有していることを示したが、本年度は、乾燥保存した羊膜の口蓋裂形成術への効果を動物実験モデルにて確認した。3週齢ラットを用いて口蓋粘膜欠損モデルの粘膜欠損を作製し、乾燥羊膜の応用の有無による、創傷治癒への効果および経時的な顎発育への影響を確認した。その結果、粘膜欠損部に乾燥羊膜を応用した群では、術1週後の組織学的検索において、粘膜下組織の良好な再構築が確認された。また、術7週後の頭蓋骨標本の形態計測において、乾燥羊膜の応用により、若年時の手術による上顎発育への影響を抑制する効果があることが示された。 以上より、羊膜組織の口唇口蓋裂治療への有用性が示唆され、患児由来の羊膜組織の将来的な臨床応用をさらに詳細に検討すべきと考えられた。
|
Research Products
(1 results)