2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791972
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
濱田 正和 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (80506361)
|
Keywords | 口腔癌 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌細胞の浸潤転移を抑制し、腫瘍細胞を死滅させる分子標的治療法の開発を目指した。PKCの発現は腫瘍の発癌、浸潤、抗癌剤耐性に重要な働きをするとされている。PKCα選択的阻害剤であるsafingolとファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)阻害剤、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ(GGTaseI)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤との併用効果をMTT法にて検討を行ったところ、特にsaflngolとGGTaseI阻害剤であるGGTI-298で併用薬剤の相乗効果を認めた。そこで次にGGTasel阻害剤単独の口腔扁平上皮癌細胞に対する影響を検討した。ヒト癌において変異がみられるGDP/GTP結合GTPaseのRasが腫瘍原性を発揮するためには、FTaseとGGTaseIによる翻訳後の修飾が必要とされている。GGTaseIに対する阻害剤(GGTI)は、RasやRhoを阻害するとされている。Rasファミリーは細胞増殖、アポトーシスなど、Rhoファミリーは細胞骨格、接着などに関与することが知られている。そこでGGTI-298で口腔扁平上皮癌細胞を処理したところ、細胞突起の伸長と細胞の円形化が認められた。細胞の運動能について、wound healing assayを行ったところ、GGTI存在下では、傷害部位への細胞の遊走が阻害され、修復が遅延した。caspase非依存的にアポトーシスを誘導するsafingolと分子標的治療薬の中でも新規のGGTIとの併用はsafingolは抗腫瘍効果、GGTI-298は浸潤能を抑制する働きを認めるため、抗癌剤耐性の克服、転移の抑制に対して大いに貢献できると考える。
|