2011 Fiscal Year Annual Research Report
HPV遺伝子導入口腔扁平上皮癌細胞の放射線化学療法に対する感受性について
Project/Area Number |
22791974
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石橋 美樹 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 招聘教員 (40412051)
|
Keywords | HPV / 口腔扁平上皮癌 / 放射線化学療法 / 口腔多発癌 |
Research Abstract |
ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸癌の原因ウイルスであることが知られているが、高リスク型であるHPV16型、18型が近年、口腔扁平上皮癌においても関連することが注目されている。頭頸部癌においてはHPV陽性群では、陰性群に比して放射線療法や化学療法に対する感受性が良く、予後が良好という報告もある。申請者は、HPV遺伝子を有する口腔扁平上皮癌をPCR法にて同定し、その中から陽性、陰性症例を抽出し、ウイルス感染が確認された症例および確認されない症例における形態学的解析において明らかな違いは確認できなかった。ウイルスDNAの存在は感染を示すものの、発癌やウイルス感染による癌の形質変化を意味するわけではなく、ヒト遺伝子へのウイルスDNAの取り込みが必要である。ウイルスの取り込みを確認するため、転写産物であり、種々の癌遺伝子との関連が知られているE6、E7タンパクの発現を免疫組織学的に検討したところ、当初、非特異的反応が著明であり、評価が困難であった。抗原賦活化についての条件を検索設定したところ、安定した染色性を得ることができた。その結果、放射線化学療法の効果とHPVE6、E7タンパクの発現に関連性は認められなかった。 一方で、症例の後ろ向きの解析により、口腔多発癌、多臓器との重複癌においてHPVウイルスの存在が有意に認められ、HPVウイルスが多発癌、重複癌に関与することが示唆された。
|