2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の骨浸潤・骨破壊に対するangiogeninを標的とした治療法の基礎的検討
Project/Area Number |
22791979
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉岡 徳枝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50362984)
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Keywords | 口腔癌 / angiogenin / 顎骨浸潤 |
Research Abstract |
血管新生蛋白であるangiogeninは,癌の進展過程において腫瘍血管のみならず癌細胞の増殖に重要な役割を果たしている. 本研究では,癌の顎骨浸潤などの癌誘発性骨破壊に対するangiogeninの役割ならびにangiogeninを標的とした治療の開発の可能性をさぐることを目的とした. RNAi法によりangiogeninの発現をノックダウンした口腔扁平上皮癌細胞株HSC-2を用いて骨破壊動物モデルを作製し,癌誘発の骨破壊病変に対するangiogeninの発現制御による治療効果を検討した,angiogenin RNAi transfectant群では対照群と比較して骨破壊が抑制され,骨浸潤部の破骨細胞数も有意に減少していた.CD34染色して対照群と比較したところ,angiogenin RNAi transfectant群では腫瘍血管新生が抑制された. in vitroにおける破骨細胞形成・分化過程および骨吸収活性に対するangiogeninの影響について検討したところ,angiogeninは破骨細胞形成のみならず吸収活性をも促進していた.また,マウス大腿骨骨髄細胞にangiogenin-RNAiを遺伝子導入し,活性型VitamineD3を添加し,破骨細胞形成数について検討したところ,angiogeninの発現を抑制すると破骨細胞形成は抑制された. さらに,angiogeninノックアウトマウス(ANG-KOマウス)を作製し,ANG-KOマウスから採取した骨髄細胞を活性型Vitamin D3を添加して破骨細胞を誘導する系,脾臓細胞をRANKL,M-CSFを添加して破骨細胞を誘導する系について検討し,野生型と比べてKOマウスでは破骨細胞形成が抑制されることが明らかとなった.以上の結果から,angiogeninが癌誘発の骨破壊の治療に対して新たな分子標的になりうる可能性が示唆された.
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