2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌・癌幹細胞におけるFGF結合蛋白HBp17の役割と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
22791982
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新谷 智章 広島大学, 病院, 助教 (90403518)
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Keywords | 増殖因子 / ビタミンD3 |
Research Abstract |
【研究の目的】HBp17/FGFBPは、A431細胞の培養上清よりFGF-2とともに分離・精製された、17kDaのヘパリン親和性分泌蛋白である。上皮細胞で特異的に発現され、FGF-1、-2と可逆的に結合することから、標的細胞でのFGFsの遊離・活性化に深く関与していると考えられる。 近年、活性型ビタミンD3は、癌や心臓病を低減させる効果が報告されている。しかし、口腔扁平上皮癌細胞(OSCC)における、HBp17/FGFBPと活性型ビタミンD3の関係については報告されていない。そこで、活性型ビタミンD3がOSCCにおけるHBp17/FGFBPに与える影響について検討を行ったので報告する。 【材料および方法】無血清培養系で、OSCC細胞株UE細胞に活性型ビタミンD3およびを添加し、24時間後にHBp17/FGFBP、FGF-2およびNF-κB関連分子群の遺伝子および蛋白の発現を定量PCR法およびウエスタンブロット法にて検討した。HBp17/FGFBP遺伝子プロモーター配列をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込み、活性型ビタミンD3によるレポーター活性について検討を行った。また、HBp17/FGFBP抗体にて蛍光免疫染色を行い、活性型ビタミンD3が細胞内のHBp17/FGFBPの局在に与える影響を検討した。 【結果】活性型ビタミンD3添加により、HBp17/FGFBPの遺伝子発現とタンパク発現は低下していた。また、FGF-2発現もビタミンD3添加群で低下していたが、IκB-α発言は増加していた。レポーターアッセイでは、HBp17/FGFBP遺伝子プロモーター配列を遺伝子導入したUE細胞ではビタミンD3添加によりレポーター活性が、約30%低下した。さらに蛍光免疫染色により、ビタミンD3添加群のHBp17/FGFBP蛋白は、核への局在が増加していた。
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