2011 Fiscal Year Annual Research Report
新疾患概念「ミクリッツ病/IgG4関連疾患」の病因解明に向けての分子生物学的検討
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22791990
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森山 雅文 九州大学, 大学病院, 医員 (20452774)
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Keywords | ミクリッツ病 / IgG4関連疾患 / シェーグレン症候群 / 自己免疫疾患 / サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
【目的】ミクリッツ病(MD)は、病理組織学的類似性からSSの一亜型とされてきたが、近年確立された疾患概念である「IgG4関連疾患」の1つとして認識されるようになった。われわれの過去の研究では、MDの病態形成やIgG4産生には、Th2やTregが産生するIL-4とIL-10が関与しでいる,ことを明らかにしてきた。またMDは、唾液腺に胚中心(GC)を高頻度に形成するという特徴を有する。最近の研究では、異所性のGC形成やIgG4産生には主に濾胞性Th細胞(Tfh)が産生するIL-21が重要であることが報告されている。そこで本研究では、MDにおけるIL-21とGC形成およびIgG4産生との関連について検討を行った。【材料と方法】1993年4,月から2011年10までに当科を受診したMD患者12例、SS患者14例および健常者14例を対象とした。これらの患者の口唇腺(LSG)を用いて、IL-21の産生細胞であるTfh、Th2、およびTh17に関連するサイトカインおよび転写因子について、免疫組織化学染色およびreal-time PCRによりその発現を解析した。【結果】MDのLSGでは、健常者ならびにSSと比較してIL-21、Bcl-6のmRNA発現が亢進していた。また、免疫組織化学染色にてそれらの局在をみたところ、SSではIL-21およびTfh関連分子はGCに強く発現していた。一方、MDではTfh関連分子はSSと同様にGCに強く発現していたが、IL-21はLSG全体に強い発現を認めた。つまり、MDにおけるIL-21産生細胞はTfhだけではなく、Th2およびTh17の可能性も考えられた。そこで、MDにおけるこれらの関連分子の局在をみたところ、Th17関連分子はほとんど発現を認めなかったが、Th2関連分子はIL-21と同様にLSG全体に強い発現を認めた。Th17関連分子は、MDではほとんど発現を認めなかった。また、MDのIgG4産生とIL-21との相関をみたところ、IL-21のmRNA発現量は、IgG4のmRNA発現量およびIgG4陽性細胞率と正の相関を認めた。【結論】これらの結果より、MDの唾液腺病変ではTh2を主体とするIL-21の過剰産生によりGCの形成を促進し、IgG4へのクラススイッチが誘導されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回の研究の過程の中で、最近同定されたTfhにも注目し1現在その成果をAnnals of the Rheumatic Diseasesに投稿し、現在再審査中である。さらにTh2とTregに関しての成果をArthritis & Rheumatismに掲載し、その研究結果はNature関連雑誌であるNature Review RheumatologyにResearch Highlightとして紹介されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で注目しているTh2、Treg、Tfhについてはある程度の成果を残しているが、今後その機能・病因解明のためには、原因遺伝子の解析やIgG4関連疾患モデルマウスの確立などが必要と考えられる。現在原因遺伝子の解析については、筑波大学膠原病内科と共同研究を行っており、またモデルマウスの確立については、福岡大学リウマチ・腎臓病内科と共同研究を行っており、検索をすすめている状況である。
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Research Products
(3 results)