2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨再生過程におけるCCN3の役割の解析とその臨床応用への基盤構築
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22791992
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
南里 篤太郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50529807)
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Keywords | CCN3 / 破骨細胞 / 骨再生 |
Research Abstract |
口腔癌による顎骨切除などの大きな骨欠損の回復には、現在、骨移植(人工骨も含む)による治療が主流となっているが、細胞移植、遺伝子導入を利用した骨再生治療の開発も試みられている。このような新たな治療法の開発にあたっては、疾患の病態メカニズムを十分に理解しておくことが重要なため、骨形成・骨再生の分子メカニズムを詳細に解析することにより優れた骨再生療法の開発基盤を構築できると考えられる。本申請者は以前、強力な骨芽細胞分化・骨形成促進因子であるBMPと幹細胞分化制御に関わる膜タンパク型受容体であるNotchがクロストークし、その作用にCCN3が関与している可能性を考え、CCN3がBMPシグナルとNotchシグナルのクロストークに関与し、骨芽細胞の分化を制御していることを明らかにした。破骨細胞の分化に対するCCN3の役割を解明することも骨再生のメカニズムを総合的に考える上で重要であったため、本科学研究費助成事業により研究を進めた結果、アテロコラーゲンメンブレンを材料とした円形ディスクにCCN3を添加したものをマウスの後背筋下に填入したところ、コントロール群と比較し、骨形成が抑制され、また、RAW264細胞を用いて分泌タンパクであるCCN3を添加すると、TRAF2/6等RANKの下流遺伝子群の発現が抑制された。つまり、CCN3が骨再生時には骨芽細胞のみならず、破骨細胞のいずれの分化も、相互に制御、調整するコントロール因子である可能性が高いことが示された。骨再生には、過度の再生を抑制する制御因子の存在が重要であり、その役割をCCN3が担っていることは未だ報告がないため、現在、得られた知見をもとに、論文作成している。
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