2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射線・化学療法で誘発される口内炎のエピジェネティック変化に対する治療法の検討
Project/Area Number |
22791997
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
飛田 尚慶 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (00336174)
|
Keywords | 口腔粘膜炎 / 癌治療 / エピジェネティック |
Research Abstract |
頭頚部癌に対する放射線・化学療法で発症する口内炎は、粘膜上皮細胞のDNAが直接放射線や化学療法剤で損傷を受ける他に、後天的な遺伝子発現の傷害、いわゆるエピジェネシスによるものと考えられる。エピジェネシスの治療法としてヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の使用が研究されているが、本研究では、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤のトリコスタチンAがどの程度粘膜上皮細胞の損傷を抑制するかについて、無血清培地で培養した単層培養口腔粘膜上皮細胞上で検討した。7名の口腔外科外来小手術の被験者から口腔粘膜を採取し、初代培養を行った後、2継代まで可能な細胞2株を用いて実験を行った。化学療法剤のCDDPを投与し粘膜上皮細胞の増殖抑制試験を行った。結果はCDDP100μM投与群で細胞増殖抑制効果が得られた。次にトリコスタチンAの細胞増殖抑制試験を実施した。一回目ではトリコスタチンA100nMを投与した時、10%増殖率の増加が得られたが、2回目以降では細胞の増殖率に0%~10%の幅で差が生じ、安定した濃度が得られなかった。またトリコスタチンA100nMの濃度に固定して1Gy2GyのX線照射を行い、コロニー形成能を調べたが、コロニーは全く認められなかった。一方トリコスタチンA100nMを作用させた後にCDDP100μMを投与し、同様のコロニー形成能実験を行った。結果は放射線と同様にコロニー形成能を認めなかった。放射線照射・CDDP投与両群での培養上清を用いてTNF-αの分泌濃度をEHSAにて測定した。トリコスタチンAのみ作用させた群をコントロールとして比較したが、有意な差は認められなかった。
|