2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射後ヒト唾液腺における幹/前駆細胞の分離とその特性解析
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22791999
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐藤 有紀 (立石 有紀) 横浜市立大学, 医学研究科, 共同研究員 (60573277)
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Keywords | 唾液腺 / 放射線 / 幹細胞 / アミラーゼ |
Research Abstract |
ヒト唾液腺粘表皮癌細胞株(HTB41)を用いて、10%ウシ胎児血清添加のDMEM/F12培地及び35mm培養ディッシュ(CELLSTAR)を用いて培養条件の検討を行った。細胞播種密度については高密度(1.0×10^4cells/cm^2)と低密度(300cells/cm^2)の条件で常時温度37℃、CO^2濃度5%、湿度100%に設定した培養器で検討を行った。培養液に抗癌剤(シスプラチン)を添加し、細胞の状態を実体顕微鏡にて観察したところ、HTB41細胞は紡錘形細胞から類縁形に変形したが、再増殖が進むに連れて、形態が再び紡錘形へと変化していった。また接着性が増していった。さらに、免疫組織学的にはアミラーゼ、アクアポリン、サイトケラチンなどの唾液腺細胞マーカーの発現が、再増殖に伴って確認され、これらより、唾液腺癌細胞においても唾液腺細胞のマーカーが再生時のマーカー、即ち幹/前駆細胞マーカーになり得ることが考えられた。 さらに放射線侵襲時のヒト唾液線細胞への影響の検討を行ない、侵襲時の唾液腺アミラーゼ活性の測定を免疫組織学的に行なったところ、侵襲時には唾液腺アミラーゼ活性が上昇し、唾液腺内でのアミラーゼ活性が亢進していることが推測できた。すなわち、侵襲下では唾液腺の防御反応が発生し、幹/前駆細胞が反応しているものと考えられた。これらは侵襲を軽減した場合には活性が低下したことから、アミラーゼ活性が唾液腺幹/前駆細胞の活動動態を密接に関与していることが考えられた。
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