2011 Fiscal Year Annual Research Report
顔面部癌性疼痛における三叉神経脊髄路核の神経-免疫系機構の解明
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22792003
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
布巻 昌仁 九州歯科大学, 歯科侵襲制御学分野, 助教 (10341489)
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Keywords | 癌性疼痛 / 神経因性疼痛 |
Research Abstract |
本研究では癌性疼痛の分子機構解明を脊髄の神経-グリア相互作用の時系列的・局所的変化の解明によって、神経栄養因子誘導による治療が予防的および慢性期に応用できるか否かの、基礎的知見を得ることを目的とする。まずWister系ラットを用いて、癌性疼痛モデルの作製を行った。チオペンタール腹腔内投与による麻酔下に、右側上顎骨部分に1ml注射器にて癌細胞(Walker256B carcinocarcinoma;2x10^6)を注入し、癌性疼痛モデルとした。この顔面癌モデルにおいて、癌細胞接種後に自発痛が出現することを観察した。異常疼痛は時間経過とともに増悪し、アロディニアや痛覚過敏を示す領域は拡大された。この顔面癌モデルにおける異常疼痛の発生時期は、これまでに報告されるどのガン性疼痛モデルと比較しても圧倒的に発症が早かった。この結果は、口腔顔面部の癌患者における早期のガン性疼痛発症を反映していると考えられた。ちなみに予備実験として、Walker256B細胞が1日に1回程度で倍数分裂していることを確認した。ガン性疼痛モデルを用いた研究より、腫瘍増大や骨浸潤に伴った2次的炎症および圧迫や浸潤による神経障害がガン性疼痛の原因となっていることが示唆されたため、モルヒネ、NSAID(非ステロイド性消炎剤)、をくも膜下腔に投与して鎮痛効果を調べると共に、細胞修復を詳しく調べるため、1、3、7、14日目に脊髄を摘出、凍結切片を作成、これらの組織切片に対してc-fos遺伝子発現をin situ hybridization法にて検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の研究結果は中枢グリア細胞を標的とした薬物投与がガン性疼痛抑制に効果的であることを示している。しかし、この結果はあくまでもガン性疼痛の発生初期にたいする影響であり、一旦発生してしまった後の抑制効果について示しているものではないと考えられる。臨床では疼痛は発症してから患者に疼痛治療が行われることを考えると、本モデルにおけるガン性疼痛の発症後期でのプロペントフィリンの効果について検討する必要があると考えられる。
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