2011 Fiscal Year Annual Research Report
舌痛症に発症する舌熱性痛覚過敏の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
22792021
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 准教授 (20362238)
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Keywords | 舌痛症 / TRPV1 / Artemin / GFRα3 |
Research Abstract |
舌痛症は、舌に炎症や腫瘍などの器質的な変化が認められないにもかかわらず、舌に慢性的な痛みや痛覚過敏が生じる疾患である。女性に発症することが多く、痛む部位が移動する、食事中は痛みが緩和されるといった特徴があるが、原因はほとんどわかっていない。わが国においては約700万人の患者が存在すると考えられるが、舌に器質的な変化が認められず、血液検査等も正常値を示すことから、「気のせい」にされることが少なくなく、適切な診断と治療がされていないケースが非常に多い。舌痛症はBurning mouth syndromeと呼ばれているように、舌に焼かれたような灼熱感を呈することが多いことから、舌の侵害熱受容器のTRPV1がなんらかの変化をおこしている可能性が非常に高い。本研究では2,4,6-trinitrobenzene sulfonic acid(TNBS)舌投与により舌痛症モデルマウスを作製し、同モデルに生じる舌熱痛覚過敏に対するArteminの役割について検討した。 C57/BL6雄性マウス(7w)の舌背にTNBS(10mg/ml,1h)を投与すると、投与後1日目より舌背に熱痛覚過敏が生じた。TNBS舌背投与後5日目、舌に組織学的変化は認められなかったが、舌背粘膜においてArtemin発現量が増加し、抗Artemin中和抗体およびTRPV1アンタゴニスト(SB366791)の投与により舌背の熱痛覚過敏が抑制された。また三叉神経節における舌投射Artemin受容体(GFRα3)陽性かつTRPV1陽性神経細胞数が増加した。さらにArtemin舌投与後5日目に舌背に熱痛覚過敏が生じ、SB366791の舌投与により舌背の熱痛覚過敏が抑制された。 以上の結果から、TNBS舌背投与により生じる舌背の熱痛覚過敏は、舌背粘膜で増加するArteminによる舌投射ニューロンにおけるTRPV1の増加が関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)