2011 Fiscal Year Annual Research Report
舌癌の浸潤・転移を制御する癌微小環境の3次元構造解析
Project/Area Number |
22792022
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
島津 徳人 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10297947)
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Keywords | 歯学 / 病理学 / 舌癌 / 癌浸潤 / 転移 / 癌微小環境 / 組織立体構築 / 3次元形態計測 |
Research Abstract |
癌の浸潤・転移には、癌細胞の表現型とともに血管新生を含む癌微小環境の果たす役割が注目されている。本研究では、舌癌原発病巣の浸潤様式の分類と予後予測につながる病理診断指標を明らかにする目的で、多重免疫標識を施した連続薄切組織画像から舌癌深達部の癌胞巣と間質を立体構築し、癌微小環境を構成する血管・リンパ管内皮細胞、線維芽細胞、炎症性細胞・免疫応答細胞などを免疫表現型に基づいて分画した。本年度は、腫瘍微小環境を構成する全細胞集団(5~6×10^5個/mm^3)を対象として、血管内皮マーカ(CD31,CD34,CD105)、リンパ管内皮マーカ(D2-40)、マクロファージマーカ(CD68)、筋線維芽細胞マーカ(S100A4とα-SMA)の分子局在を計測した。再構築空間では、免疫標識物質の形状と位置情報に基づき、間質中に分散する微小浸潤胞巣、腫瘍細胞と脈管内皮との接触と脈管内侵襲の発生部位、腫瘍細胞と筋線維芽細胞との接触(CAF)、マクロファージと腫瘍細胞あるいは脈管内皮細胞との接触(TAM)などを検出できた。脈管要素の分画操作では、太い幹から分岐した脈管末端に至る連続する脈管走行を可視化できた。健常粘膜空間では分岐した血管走行とリンパ管走行が明確に分画して辿れるのに比べて腫瘍環境下では脈管密度が高まっており、新生脈管は複雑に分岐して絡み合った走行を示していた。腫瘍環境下で新生された血管・リンパ管の脈管壁を構成する内皮細胞の免疫表現型は多様であり、特に腫瘍胞巣内で分岐する微小血管壁ではCD31/CD34/CD105/D2-40の多重標識では単独陽性内皮細胞とともに二重・三重陽性細胞が分極して位置することと、リンパ管壁ではD2-40単独陽性細胞とともに異なる表現型の内皮細胞も介在することが確かめられた。
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