2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌転移抑制因子CD82による癌細胞の細胞間接着制御機構の解析と臨床応用
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22792027
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
高橋 美穂 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (00444795)
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Keywords | 癌 / CD82 / シグナル伝達 / 細胞・組織 / 遺伝子 |
Research Abstract |
Tetraspanin superfamilyの一つである癌転移抑制因子CD82がc-Metと複合体を形成し、c-Metアダプター蛋白質の結合を阻害することにより癌細胞の遊走を抑制することが明らかにされている。一方、上皮細胞接着因子E-カドヘリンは細胞内でβおよびγ-カテニンと結合し、α-カテニンおよびα-アクチニン分子を介してアクチン細胞骨格と結合し、強い細胞間結合を形成することが明らかになっている。また、E-カドヘリンの細胞質内領域にp120が結合することにより、E-カドヘリンの機能を制御している。これらのことから、E-カドヘリンは細胞間接着のみならず、細胞運動にも深く関与しているのではないかと考えられる。そこで、CD82-E-カドヘリン相互作用からの癌細胞の接着・浸潤転移のメカニズムを検討するために、HGF刺激時のCD82によるE-カドヘリン-カテニン-アクチニン-アクチン細胞骨格系シグナル伝達への影響をreal-time PCRを用いて解析を行った。細胞株はCD82低発現細胞株hl299にCD82を遺伝子導入したhl229/CD82 transfectantとコントロールとしてMOCKを用いた。HGF無刺激時では、MOCKと比較するとCD82導入株ではE-カドヘリン、アクチニンα4のmRNAの発現は高発現を認めたが、β-カテニンのmRNA発現には有意な差は認められなかった。HGF刺激ではE-カドヘリン、β-カテニン、アクチニンα4のmRNAの発現はCD82導入株では経時的に抑制されたが、MOCKの発現よりは常に高発現を示した。MOCKのβ-カテニン、アクチニンα4のmRNAの発現はHGF刺激後5分で発現のピークを向かえその後減少を認めたが、E-カドヘリンのmRNAの発現は著明な変化は認められなかった。以上の結果から、CD82はHGF刺激にによるE-カドヘリン-カテニン-アクチニン-アクチン細胞骨格系シグナル伝達を制御し、細胞間接着を保持させながら細胞運動を抑制している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウエスタンブロットによるE-カドヘリンの検出が困難であったことおよび、免疫沈降法の技術が難しかったため、結果がでず、次のステージに移行するのに苦慮したため。
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Strategy for Future Research Activity |
E-カドヘリンの裏打ちタンパク質であるβ-カテニンのリン酸化の亢進がE-カドヘリンの細胞間接着機能を低下させると言われている。そこで、CD82低発現細胞株hl299にCD82を遺伝子導入したhl229/CD82 transfectantの細胞溶解液を用いて、特異的抗リン酸化抗体によるウエスタンブロットでHGF刺激によるβ-カテニンのリン酸化をみる。
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Research Products
(1 results)