2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22792032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷口 由実 北海道大学, 大学病院, 医員 (80543503)
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Keywords | 歯学 / 歯根膜細胞 / 破骨細胞 / 免疫担当 |
Research Abstract |
乳歯と永久歯のもっとも特徴的な違いは、歯根吸収の有無があげられる。乳歯の歯根吸収は、後継永久歯の萌出過程と関連して厳密に制御されていが、しかし、カリエスあるいは外傷などの原因によって非生理的な吸収を生じていることは、臨床上よく知られていることである。通常、歯根吸収は破骨細胞が選択的に歯根を吸収することで進行するが、乳歯の非生理的歯根吸収において急速に歯根吸収が引き起こされる機序については、いまだに不明である。そこで本研究は乳歯における非生理的歯根吸収機序を解明するために、免疫担当細胞に焦点を絞り、破骨細胞と免疫担当細胞との相互作用が乳歯の非生理的歯根吸収にどのように影響しているか検討した。 マウスの上顎第一臼歯を可及的に無菌的に抜歯、歯根部の領域の歯根膜を剥離・細切し、酵素処理によって歯根膜細胞を分離し、歯根膜細胞の継代培養を行った。また、マウスの脾臓から特異的にTreg細胞を分離した。マウスマクロファージ様単核細胞磁RAW264.7をRANKL刺激下によって破骨細胞に誘導分化させた。各種因子によって刺激し破骨細胞前駆細胞に分化誘導させた。誘導した破骨細胞前駆細胞、マウス歯根膜細胞およびTreg細胞の共存培養を行い、それぞれの細胞群の組み合わせにおける成熟破骨細胞数を定量した。成熟破骨細胞の数は、RAW細胞単体培養では、50±7.1cells/wellであったのに対しTreg細胞との共存培養では、6.7±1.8cells/wellと有意に減少していた。このTreg細胞による破骨細胞数の誘導抑制は、歯根膜細胞の添加によっては影響を受けなかった。また、透過性のメンブレンを仲介し破骨細胞前駆細胞とRaw細胞との直接接触を遮った場合、誘導された成熟破骨細胞の数は、3.7±2.2cells/wellであった。このことから、Treg細胞による破骨細胞誘導抑制は、細胞接触を必要ない事が判明した。以上結果から、乳歯の非生理的歯根吸収は、Treg細胞の活性が低下することで引き起こされている可能性が示唆された。
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