2011 Fiscal Year Annual Research Report
眼・顔面・心臓・歯症候群における歯根形成を制御する遺伝子BCORの役割の解明
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22792038
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 卓也 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50401360)
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Keywords | 歯学 / 遺伝学 / OFCD / BCOR / 歯根形成 |
Research Abstract |
矯正治療や歯の再植・移植といった治療や炎症により、歯根吸収が惹起され、動揺や脱落といった転帰をたどるケースは少なくない。歯根形成のメカニズムを解明することは一端吸収が進んだ歯根の再生や歯根吸収の抑制といった治療法の開発に向けて期待されるテーマである。眼・顔面・心臓・歯症候群(OFCD)はまれな遺伝性疾患で、特異的な頭蓋顔面を呈し、心臓および眼の異常がみられ、長い歯根を呈する疾患である。近年、BCL-6 corepressor(BCOR)の変異により、OFCDを引き起こすことが報告されたが、歯根形成におけるBCORの機能は明らかにされていない。そこで、分子生物学的、遺伝学的ならびにバイオインフォマティクスの手法を統合して、OFCDの原因遺伝子であるBCORの機能を解析し、歯根形成のメカニズムを解明することを目的とした。 平成23年度では、研究代表者が担当しているOFCD患者よりゲノムDNAを抽出し、PCR法とダイレクトシークエンス法でBCOR遺伝子の全翻訳領域とエクソン/イントロン境界の塩基配列を決定した。その結果、一80侃遺伝子にヘテロ接合性の新規変異(c.3668delC)を認め、フレームシフトにより早期終止コドンを形成した(p.S1223WfsX14)。また、矯正歯科治療のため便宜抜歯した小臼歯より、歯髄間葉細胞ならびに歯根膜細胞を単離し、それらの培養系を樹立した。さらに、健常者からも矯正歯科治療のため便宜抜歯した小臼歯より歯髄間葉細胞ならびに歯根膜細胞を単離し、培養を行っている。今後、このBCOR遣伝子変異が歯髄間葉細胞ならびに歯根膜細胞におけるmRNAやタンパク質の発現パターンに与える影響を検索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度にOFCD患者から抽出したゲノムDNAからBCOR遺伝子の新規変異3668delCを同定し、さらに患者から歯髄間歯細胞ならびに歯根膜細胞を単離し、それらの培養系を樹立した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に樹立したOFCD患者の歯髄間葉細胞ならびに歯根膜細胞におけるBCORのmRNAやタンパク質の発現パターンを健常者の歯髄間葉細胞ならびに歯根膜細胞のそれらと比較検討を行う予定である。新規変異3668delCがBCORのmRNAやタンパク質の発現パターンに与える影響を検索することは、OFCDという疾患を通して、歯根形成のメカニズムの解明につながるのではと期待される
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Research Products
(5 results)